第三章
[8]前話
「います。ですが衛生には気を付けていて」
「性病とかには」
「妊娠にもなので」
「大丈夫ですか」
「そうです。安心して下さいね」
「そうしたところはしっかりしていますか」
「そのつもりです」
こう言うのだった。
「兎角三十になると」
「そうした欲求がですか」
「強くなって。それで主人がいないと」
そうなると、というのだ。
「私はそうなっています」
「大勢の男の人とですね」
「はい、お隣さんもどうですか?」
「いえ、遠慮します」
三橋は真顔で答えた。
「そうしたことはです」
「いいですか」
「はい、嫌いじゃないですが」
それでもというのだ。
「乱れ乱れてというのは趣味じゃないので」
「いいですよ、結構」
「それでもです」
遠慮すると言ってだった。
三橋はお隣の未亡人と普通のお隣同士として交流していった、だが小久保に彼女のことを話すとこう言われた。
「実際女の人って三十代になるとな」
「そうした欲求がか」
「凄くなるらしいな」
「そうなんだな」
「その後家さんもな」
彼女もというのだ。
「そういうことだな」
「そうなんだな」
「ただご主人いないしな」
それにとだ、喫茶店に一緒に入ってそこで紅茶を共に飲みながら話した。
「気を付けてるところは気を付けてるならな」
「別にいいか」
「罪じゃないしな」
法に触れないからだというのだ。
「いいな」
「そうだな、まあ俺はそういうのは趣味じゃないからな」
「乱れ乱れてはか」
「お隣同士のままさ、ただ女の人はそうなんだな」
「ああ、三十代からな」
「そうした欲求が凄くなるか」
「男は十代後半でな」
自分達はというのだ。
「女の人はそうだよ」
「そのことがわかったよ」
「そうか、じゃあ今回の話は無益じゃなかったな」
「そうだな、まあ別に悪いことじゃないし」
「いいだろ」
「そうだな、不倫じゃないならな」
三橋はそれならと述べた、そして彼も小久保もやがて結婚して自分達の経験からもわかった。女性は三十代からということが。その頃の彼等には体力的に少し辛かったが夜に身を以てわかったのだった。
隣の未亡人 完
2023・9・15
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