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隣の未亡人
第二章

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「聞こえないけれどな」
「それは凄いことになってるだろうな」
「ああ、しかもかなり色気のある美人さんだよ」
「そうか、じゃあお前も行ったらどうだ」
 小久保は三橋に笑って提案した。
「それならな」
「いや、それはな」
「行かないか」
「そういう人ってやばいだろ」
 かなり真面目な顔でだ、三橋は言った。
「病気がな」
「ああ、そうした病気か」
「だからな」
 それでというのだ。
「俺としてはな」
「いいか」
「本当に男出入りが凄くてな」
「引いてるんだな」
「ああ、凄いからな」
「それだけ男好きなら病気を持っていてもおかしくないか?」
「そうも考えるだろ」 
 小久保に確かな声で言った。
「だから尚更な」
「その未亡人さんにはか」
「ああ、俺は言い寄ったりしないよ」
 こう言うのだった、そして実際にだった。
 三橋は隣室の未亡人大西亜久里という妙齢の妖艶な未亡人には無関心を装い敢えて声をかけないでいた。だが。
 その彼にだ、ある日の仕事帰りに家に帰ってきたところで彼女の方から声をかけてきた。
「ちょっといいですか?」
「な、何ですか?」
 三橋はまさか声をかけられると思っていなくて身構えて言葉を返した。
「一体」
「私のことご存知ですよね」
 思わせぶりな笑顔での言葉だった。
「毎日男の人が何人も出入りしている」
「自分から言います?」
「事実ですから。実は主人凄かったんですよ」
 今度はあっけらかんとして語った。
「それで私も満足していたんですが」
「そのご主人がですか」
「事故で亡くなって」
 このことは寂しそうに述べた。
「そして三十になりますと急に」
「急にですか」
「そうした欲求が凄くなって」
 それでというのだ。
「幸い在宅ワークなので」
「お家におられながら」
「お付き合いしている人達にです」
 そうした男性達にというのだ。
「来てもらっています」
「そうだったんですか」
「出会い系や街で声をかけた人と」
「お付き合いしていて」
「楽しんでいます、ただ不倫はです」
 これはというのだ。
「家庭がいる人とはです」
「お付き合いしていないですか」
「あくまでフリーの。私も主人がいないので」
 即ち未亡人だからだというのだ。
「好きなだけです」
「楽しまれていますか」
「常時十人位の相手がいて一見さんも」
 そうした相手もというのだ。
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