第四章
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「彼女は」
「それだけかい」
「それがどうかしたのかな」
「彼女を見ると誰もが魅了されるというけれど」
「そう聞いてるよ、だから僕もだよ」
「美人だと思ったのかい」
「それがどうかしたのかな」
ワトソンに素っ気ない声で答えた。
「一体」
「彼女を見てそう言える君が凄いよ、しかしわかったよ」
ワトソンはホームズにあらためて述べた。
「探偵、事件を解決するタイプのそれは個性がないとだよ」
「駄目なんだね」
「何かしらのね。そして君の個性は」
ホームズを見て言うのだった。
「かなりだよ」
「強いかな」
「そうだよ、居並ぶ探偵達の中でもね」
それこそというのだ。
「強いよ」
「ははは、僕はチャンピオンかな」
「そこまではわからないことけれど強いことは確かだよ」
「成程ね、じゃあ間もなく今回の依頼者が来るし」
それでとだ、ホームズはワトソンに話した。
「今のうちに一服しようか」
「パイプでだね」
「最近煙草を嫌がる人も多いしね」
ホームズはこのことは少し残念そうに述べた。
「だからだよ」
「今のうちにだね」
「一服するよ、煙草は外せないよ」
「そこで個性を出すのは流石だよ」
事務所のベランダに出てパイプを吸うホームズにだった、ワトソンは言った。そしてあらためて探偵というものはそれぞれ個性が強いと思った。
だが依頼者を見てだ、ホームズもワトソンも唖然となった。
「いや、男性なのですか」
「それで」
「しかも性転換手術を受けていない」
「所謂男の娘ですか」
「はい」
見たことのないまでの美少女だった、とはいってもホームズはそうであることには美人だねという位で終わったが。
しかし美少女が実は男と聞いて驚いた、外見も声もそうであったので二人共唖然となった。そして以来の内容を受けて無事にそれを解決したが。
ホームズは仕事が終わってからだ、ワトソンに言った。
「世の中僕達より強い個性の人がいるね」
「どんな探偵にも負けない位のね」
「いや、あそこまで奇麗な男の娘がいるなんて」
「世の中個性の強い人がいるものだよ」
こんなことを話した、そしてホームズは以後自分が出会った最も個性の強い人は誰かと聞かれるとこの依頼者のことを言う様になった。自分を含めたどんな探偵でもなく。
名探偵には変わり者しかいないのか 完
2023・8・13
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