第三章
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「この仕事は個性が強くないと出来ないのかな」
「傍目で見ると奇人だね」
「変人を付け加えてもいいね」
「そう言われるまでの強烈な個性がないと」
「やっていけないのかもね」
「いや、待つんだホームズ」
ここでだ、ワトソンはある人物のことを思い出した、それでホームズに対してその人物の名前を出した。
「フレンチ警部はどうだい?」
「あの人かい?」
「あの人は真面目で穏やかでね」
「紳士だしね、彼は」
「うん、個性派かというと」
それはというのだ。
「全くね」
「違うね」
「そう思うがどうかな」
「そうかな」
ホームズは語るワトソンに悪戯っぽく笑って返した。
「その真面目さと緻密さがだよ」
「個性なんだ」
「あの人の個性なんだ」
「そうじゃないかな」
こう言うのだった。
「それも強いね」
「言われてみるとそうかな」
それならとだ、ワトソンも頷いた。
「言われてみれば」
「そうも考えられるね」
「確かに」
またホームズの言葉に答えた。
「言われてみればね」
「そうだね、あれだけ真面目で緻密だとね」
「それ自体が強い個性だね」
「そうだよ、そしてロンドン市警のドーバー警部は」
「あの嫌われ者のかい」
「その嫌われる要素がだよ」
それがというのだ。
「やっぱりね」
「個性だね」
「そうだよ、まあ僕は気にしないけれどね」
ホームズは今度は悪戯っぽく笑って話した。
「ドーバー警部の人間性はね」
「かなり酷いと思うけれどね」
「いや、別に犯罪はしないし事件も解決するし」
「解決してるのかな、あの人は」
ワトソンはそこは疑問だった。
「果たして」
「そうだと思うよ」
「それであの人の性格もかい」
「別にね」
「そうなんだね、それと君ハニー=ウェスト嬢とこの前会ったけれど」
「噂に違わぬ美人さんだね」
あっさりとした返事だった。
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