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楓の笛
第二章

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「今からあの者とお話をしましょう」
「そうされますか」
「これより」
「あの少年と」
「そうします」
 こう言ってだった。
 王女は少年のところに赴いた、そこで彼の前に来て尋ねた。
「お時間はあるでしょうか」
「貴女は」
 その王女を見てだ、少年は言った。
「随分と高貴な方ですね」
「それは」
「わかります」
 少年は身分を隠そうとした王女に微笑んで答えた。
「馬の乗り方から」
「そこからですか」
「貴女の乗り方は女性とはいえです」
 それでもというのだ。
「ご幼少の頃から嗜まれているものです」
「乗馬に慣れていると」
「はい、馬に乗ることは難しいです」
 少年はこのことを言った。
「私なぞ何とかです」
「乗れていても」
「そうした感じです、また言葉遣いもです」
 今度は王女のこのことを話した。
「落ち着かれ気品があり物腰も同じです」
「そうしたことからですか」
「貴女がそうだとわかりました」
「そうでしたか」
「そうした方にです」
 少年はさらに言った。
「こうした場所でお話するのは失礼ですね、これより羊達を牧場に戻しますので」
「それからですか」
「詳しく。私の家で」
「お話をですか」
「如何でしょうか。粗末ですが食べものやお水も出せます」
「供の者達も連れて」
「はい、それでは」
 ここでだった。
 少年はまた笛を吹いた、すると。
 羊達は彼の先導に導かれて去っていった、見ればその周りを犬達がしっかりと守っている。少年は犬達も置いていたのだ。
 その犬達も見てだ、王女は周りに話した。
「実にです」
「見事ですね」
「あの少年はわかっています」
「王女様のことも見抜かれましたし」
「あの少年かなりの賢人かと」
「羊飼いにしては勿体ない位です」
「そうですね、あの少年ならです」
 王女はさらに言った。
「私の伴侶となりです」
「姉姫様と伴侶様の助けとなり」
「国を動かしてくれますね」
「あの知恵ならば」
「そうしてくれますね」
「はい、間違いなく」
 王女は確かな声で言った、そして戻って来た少年に案内されてだった。
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