第二章
[8]前話
「仏様でもね」
「修行しているし」
「だからね」
それでだ。
「宇宙だって終わっても」
「また別の宇宙が生まれるわね」
「そうよね、ヒンズー教のお話だけれど」
仏教とはまた違うがだ、インドでは仏教の方がヒンズー教の一派であるとみなさされていることも学んだ。
「宇宙は創造神ブラフマーの一日で」
「ブラフマー神がまた次の一日をはじめるとね」
「また宇宙が生まれるから」
「宇宙もずっと続くわね」
「神様も死ぬことがあるけれど」
インド神話では結構あると聞いた、アスラ神族はよく殺されているという。
「その一生なんてね」
「途方もないわね」
「まして神様も転生するし」
インド神話ではだ。
「もうね」
「永遠よね」
「ええ、輪廻転生は永遠に続いて」
例え今私達がいる宇宙がなくなっても別の宇宙が生まれてそこでまた新たな輪廻が繰り返されてだ。
「それでね」
「そのうえでよね」
「そう、解脱しても続くから」
それで終わりではなくだ。
「そう考えていくと永遠はね」
「あるわね」
「少なくとも人間の感覚ではね」
その命が短いだ。
「永遠はね」
「あるわね」
「それがわかったわ、永遠なんてないとか」
それこそとだ。
「世の中のことがわかっていないからね」
「言うことっていうのね」
「それがわかったわ」
こう友人に話した。
「私はね」
「私もよ。私は入学したての頃のあんたの言葉本当かしらねってね」
「思ってたの」
「それ位だったけれど」
それでもというのだ。
「今はね」
「永遠はあるってなのね」
「仏教の講義を聞いてね」
私達が今通っているこの大学ならではのだ。
「わかったわ」
「そうなのね」
「ええ、永遠はあるわよ」
「そうよね」
「そして人間のわかることなんて」
友人は今度はこんなことを言った。
「もうね」
「それこそよね」
「ほんの少しよ、人が知ったつもりでも」
「実はそんなことなんてね」
「お釈迦様の掌みたいなものよ」
西遊記のあのお話だということは私にもわかった。
「もうね」
「その通りよね」
私も即座に頷いた。
「本当にね」
「そうよね」
「ええ、そのことがわかったわ」
私は友人に答えた、それから仏教のことをさらに学んでいった。そして気付くと僧侶になっていたのだから世の中わからないものだ。永遠は本当にあると知ったうえで。その扉は大学の講義であった。
永遠の扉 完
2023・7・30
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