第六章
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「それは」
「美波ちゃんもそう思うわよね」
「やっぱり悪いことしたらね」
「その報い受けるわね」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「お祖父さん今そうなっているのよ」
「そういうことよね」
「ええ、ただその報いは本人さんだけ受けるべきよ」
「家族が受けるべきじゃないわね」
「代々とかないから」
報いを受ける必要はないというのだ。
「それでね亜津子ちゃんとご家族が助かったことはね」
「よかったのね」
「そう思うわ」
心からだ、美波は亜津子に話した。
「本当にね」
「有り難う、そう言ってくれて嬉しいわ」
笑顔でだ、亜津子は美波に応えた。
「本当にね」
「そうなのね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「いや、悪いことはしないことね」
心からだ、亜津子はこうも言った。
「本当に」
「それね、自分だけで済めばいいのに」
「代々とかにもなるから」
「多分あんまり悪いことしないとね」
さもないと、というのだ。
「そうはならないと思うけれど」
「それでもよね」
「そこまでなると思うと」
「悪いことはしないことね」
「人はどうしても悪いことするけれど」
生きているうちにだ、だからこそ親鸞は悪人正機説を唱えたのだ。
「けれどね」
「出来るだけ慎んで」
「そのうえで」
そうしてというのだ。
「そしてね」
「やっていかないとね」
「駄目よね」
「さもないと」
亜津子は心からだ、恐怖さえ感じて述べた。
「お祖父ちゃんみたいになるわね」
「そうね、亜津子ちゃんのお祖父さんみたいにね」
美波も恐怖を感じていた、そうして心から言うのだった。
「なるから」
「だからね」
「あんまり悪いことはしないことね」
「本当にね」
こうした話をした、その後でだった。
二人はかつてのクラスメイト達と共に同窓会を楽しんだ、そうして。
同窓会の後でだ、美波は実家で母に亜津子の祖父のことを話した。すると母は神妙な顔になって娘に話した。
「そう、あまりにも悪いことをするとね」
「そうなるのね」
「ええ、ただその報いつまり呪いや因縁といったものがね」
「ご家族にいくことはないのね」
「代々ね」
こう言うのだった。
「絶対によ」
「そうよね」
「その人で終わらないとね」
そうでなければというのだ。
「駄目よ」
「それは絶対よね」
「さもないと」
そうでなければというのだ。
「こんな悪いことはないわ」
「そうよね」
美波は母の言葉に頷いた、そして出来るだけ悪いことはしないでおこうとあらためて誓ったのだった。
祖父への呪い 完
2024・1・30
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