第五章
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「呪いや因縁というものは続くので」
「だからですか」
「はい、すぐにでもです」
「お祓いを受けることですか」
「そして行いに気を付けて」
「徳を積むことですか」
「そうして下さい」
こう言うのだった。
「是非。今なら間に合います」
「お寺や神社に行ってですね」
「お祓いを受けてお経を唱えてもらって」
そうしてというのだ。
「お守りやお経も貰って下さい」
「そうします、そしてです」
「行いもです」
「あらためて下さい、そういえばです」
美加子は亜津子の母彼女そっくりで非常に整った外見の彼女にさらに話した。
「こちらのお家に神棚や仏壇はあるでしょうか」
「宗教関係のですか」
「勿論変なところから壺や仏像を買ってはいけませんが」
「確かなところからですか」
「神棚等も置かれて下さい」
「そうするといいですか」
「呪いや因縁はです」
こうした類のものはというのだ。
「神仏の力と日々の行いですから」
「そうしたもので助かりますか」
「ですから」
それでというのだ。
「くれぐれもです」
「今からですね」
「そうしたことをして下さい、ご一家で」
「わかりました」
切実な顔での返事だった、そしてだった。
亜津子の一家はその祖父のことで思い当っていたのですぐに寺でお経を詠んでもらい神社でお祓いをしてもらってだった。
お経やお守りを買い神棚を置き行いを正しくしようと務めた、すると一家は平穏に過ごすことが出来た。
そしてこの時から十年後の同窓会でだ、大学まで卒業した美波は今は主婦となっている亜津子にこう言われた。
「あの、あれからお祖父ちゃんのこと聞いたけれど」
「そうなの」
「何でも私達が美波ちゃんのお母さんからお話受けた直後にね」
その時にというのだ。
「物凄い数の悪いことが露見して」
「酷い人だったみたいだしね」
「汚職に収賄に公金横領にね」
そうしたことを繰り返しというのだ。
「性犯罪に暴行にって色々わかって」
「都議会議員さん辞めたの」
「それで刑務所に入って」
実刑になってというのだ。
「今は原因不明の病気で全身いつも凄く痛いってね」
「言ってるの」
「お医者さんが見てもわからない」
そうしたというのだ。
「おかしな病気らしいのよ」
「そうなのね」
「それでお母さんもお祖母ちゃんも言ってるの」
美波に真顔で話した。
「悪いことばかりして憎まれて怨まれた呪いをね」
「受けてるのね」
「そう、それでね」
そのうえでというのだ。
「苦しんでるんだって」
「そうでしょうね」
美波もその話を聞いて頷いた。
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