第百十四話
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第百十四話 破壊と戦争
博士は狼のコーナーの前で小田切君達に言った。
「わしはならず者以外は殺さぬな」
「それは絶対にないですね」
小田切君が答えた。
「確かに」
「そうしたことは趣味ではないからな」
「無辜の人達の犠牲は避けられますね」
「絶対に巻き添えにならぬ様にしておる」
「鼠一匹も」
「そうじゃ、命は命じゃ」
あくまでというのだ。
「わしは元々小悪党が嫌いでな」
「容赦されないですね」
「チンピラとかやくざ者とかチーマーとかのう」
「他には半グレですね」
「そうした連中は嫌いであるからな」
「容赦なく殺戮されますね」
「そして連中の場所を破壊する、しかしな」
それでもというのだ。
「関係ない命はじゃ」
「本当に巻き込まれないですね」
「わしは破壊と殺戮を好むが」
このことは事実であるがというのだ。
「あくまでじゃ」
「相手は選ばれますね」
「そうじゃ」
「それが博士のポリシー、美学ですね」
「倫理なぞ知ったことではない」
博士は言い切った。
「しかしわしはわしのポリシー、美学はじゃ」
「絶対のもので」
「関係ないことを巻き込むことはじゃ」
「されないですね」
「そういうことじゃ、戦ってもな」
それでもというのだ。
「関係ない者は巻き込まぬ」
「決して」
「そうしておる、若し巻き込むなら」
無辜の者、関係ない者をというのだ。
「わしの美学に反する、その反することがな」
「ここであったんですね」
「わかっておるか、やはり」
博士は小田切君に顔を向けて応えた。
「そうじゃ、仕方なくでもな」
「やらせる方も苦渋の決断でしたね」
「好き好んでさせる者なぞおらんかった」
それこそという言葉だった。
「当時の日本にはな」
「それも時代ですね」
「そうなるのう、人の世の行いには関わらぬが」
これも博士のポリシーで美学だ、だが。
そういったものから今博士は小田切君達に対して話していた、そこには色々と思っていることがはっきりと出ていた。
第百十四話 完
2023・11・9
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