第十二幕その十
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「大丈夫かな」
「台詞は覚えたけれど」
「はじめて演じるし」
「失敗しないかしら」
「舞台で喋られるかしら」
「大丈夫だよ、何かあったらね」
臆病ライオンは不安そうな五人に笑顔で言いました。
「僕が助けさせてもらうから」
「そうしてくれるんだ」
「臆病ライオンさんが」
「僕達に何かあっても」
「その時はなのね」
「助けてくれるのね」
「そうさせてもらうから」
だからだというのです。
「安心してね」
「それは有り難いよ」
「臆病ライオンさんがそうしてくれるなら」
「もう百人力だよ」
「よし、頑張りましょう」
「皆でね」
「そう、何があっても僕が助けさせてもらうから」
またこう言う臆病ライオンでした。
「安心してね」
「よし、やろう」
「ここで心配になっても仕方ないよ」
「やるならやる」
「吹っ切っていきましょう」
「皆でね」
五人もそれならと頷いてでした。
舞台に向かいました、そしてです。
お芝居をはじめますが五人が台詞を忘れたり言えなくなったりするといつも臆病ライオンがその台詞を傍でそっと囁いてでした。
教えたり戸惑っていると何をすればいいと小声で教えてくれてでした。
五人をフォローして助けてくれます、最後まで穏やかにそうして。
お芝居が終わると五人は臆病ライオンと一緒に皆の拍手を受けました、その後で五人で彼に言うのでした。
「有り難う、本当に」
「臆病ライオンさんに助けられたわ」
「何もかもね」
「今回は臆病ライオンさんあってよ」
「本当に助かったよ」
「いやいや、僕は囁いたりしただけだよ」
臆病ライオンはその五人に笑顔で言いました。
「そこから動いたのはね」
「僕達なんだ」
「そう言うんだ」
「助けてくれたのに」
「謙虚っていうか」
「その言葉も嬉しいわ」
「皆が嬉しいならね」
それならというのです。
「もうね」
「それでいいんだ」
「臆病ライオンさんとしては」
「それならそれで」
「そうなのね」
「それで充分なんだ」
「そうだよ、いい舞台が出来てよかったね」
こうも言う臆病ライオンさんでした。
「皆で」
「そうだね」
「そしてそれは臆病ライオンさんのお陰」
「私達にとってはね」
「今回は本当に有り難う」
「お礼を言わせてもらうわ」
五人で言うのでした、そしてこの子達だけでなく。
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