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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十八話 予期せぬ遭遇戦
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宇宙暦794年4月13日18:05
ヴィーレンシュタイン宙域、ヴィーレンシュタイン星系(ボーデン方向)、
自由惑星同盟、自由惑星同盟軍、第十三艦隊旗艦グラディウス、
ヤン・ウェンリー

 「先輩、まずいですよ」
「何かあったのかい、アッテンボロー」
「まだこの星系には入って来てはいませんが、宙域のシャンタウ方向に一個艦隊規模の帝国艦隊がいます。つい先程、隠密哨戒実施中の通報艦ゴルゴダより通報がありました」
「確かにまずいなあ…閣下、お聞きおよびかと思いますが、敵艦隊が現れました。シャンタウ方向、まだこの星系には侵入してはおりません」
我々の感想に同調しながらもウィンチェスターは表情一つ変える事がなかった。
「それは確かにまずいですね…恒星ヴィーレンシュタインに向かいましょう」
「恒星にですか」
「我々の艦隊は小規模ですし、恒星表面に近づけば此方の熱源自体を恒星が隠してくれます。帝国艦隊が余程の此方に近づかない限りばれませんよ」
「なるほど…」
「フォーク少佐、カイタルの駐留艦隊司令部とイゼルローンにFTLを。通報艦ゴルゴダより連絡、ヴィーレンシュタイン宙域の帝国側に敵艦隊発見、一個艦隊規模、我との距離……約二千五百光秒…参謀長以後の指示は参謀長にお任せします」
「了解致しました」
ウィンチェスターは驚いた顔をしていたが、出した指令の内容は冷静だった。恒星に極至近に近づいて敵のセンサーから身を隠す…中々思い付かない発想だ…しかし敵の目的は何だろう。まさか一個艦隊で攻め寄せる筈はないだろうし…ウィンチェスターの企図する逆通商破壊活動がばれたのだろうか?…いや、ばれるも何もまだ何も実施していないに等しい、ばれる筈がない。もし察知されていたとしても…それなら尚の事敵の兵力が一個艦隊というのもおかしい。この艦隊の存在を帝国軍が察知したとして…まずは通報…撃破の為の艦隊を呼び寄せる…ボーデンに入った時に通報されていたとしても…オーディンからヴィーレンシュタインまでは二十日以上はかかるだろう、時間的には辻褄が合わない…。

 私に任せると言ってウィンチェスターは何かを考えている様だ。それから一時間程たっただろうか、おもむろにラップやアッテンボローに質問をぶつけ始めた。
「ラップ中佐、敵の目的は何だと思います?」
「ええと…我々はボーデンからヴィーレンシュタイン、特にヴィーレンシュタインに入る前は余計な加減速は行っていません。航行可能ギリギリのルートを慣性航行のみ。我々が発見されているとは思えません。敵は訓練か哨戒行動中の艦隊ではないでしょうか」
「アッテンボロー大佐はどうです?」
「そうですね…小官もラップ先輩の意見に賛成です。我々がボーデンで既に察知されていたとして、その時点でオーディンから艦隊を呼び寄せたとしても、時間的間尺
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