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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十八話 予期せぬ遭遇戦
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。それでも我々に伏兵の存在を考慮させてしまっているのだから、やはり伏撃の効果は限定的だ。ここから逆算して考えれば、潜んでいるかもしれない敵本隊は此方の倍以上となる訳だが、二万や三万を越える敵艦隊がここまで見つからずに侵攻してくるというのは無理な話だ。それに、それほどの兵力が既に存在するのなら、堂々と我々を攻撃すればいい話である、囮など出す必要はない。
「そうは思わないか、参謀長。そう考えると、眼前の敵艦隊には本隊など存在しないと私は思う。あれは我々に伏兵があると思わせる為の背水の陣だ」
「ですが…やはり半個艦隊程度でこの星系まで来るとは思えません。常識的に考えて有力な敵の本隊が存在すると考えるべきです」
「参謀長、そう考えてしまう事こそが敵の思うツボなのだ。我々がそうである様に、あの敵もまた哨戒任務を行っている艦隊なのだろう。半個艦隊程度…小数だからこそ見つからずにここまで来る事が出来たと考えるべきだ」
「では…敵は我々の半数程です、撃破を狙いますか」
「あの艦隊規模で此処まで単独で侵攻してきたとなると…かなりの精鋭だろう。迂闊に手を出すと、出した手を食いちぎられるかもしれん。幸い、我等の方が数が多い。此方が妙な真似をしなければ、奴等も何もしてこないだろう」
「…はっ」
分かりやすい奴だ。返事とは裏腹に、顔は不満を隠そうともしない…。





4月15日08:45
恒星ヴィーレンシュタイン付近、自由惑星同盟軍、第十三艦隊旗艦グラディウス、
ヤマト・ウィンチェスター

 「敵艦隊、十二時方向、横陣形で停止しました。距離、百二十光秒。およそ一万二千隻、第二惑星軌道付近」
フォークがオペレータの代わりに声を張り上げる。
「オペレータ、敵艦隊の旗艦は判別出来るか」
「…旗艦級大型戦艦は存在していると思われますが、精密な識別は出来ません」
まあ…そうだろうな。救いがあるとすれば、この時期の艦隊司令官達はラインハルトの子分達ではない事だ。それにおそらくヒルデスハイム艦隊やミュッケンベルガーでもない。ラインハルトが補佐する艦隊なら一個艦隊で戦おうとはしないだろうし、ミュッケンベルガーなら何個艦隊か連れてくる筈だ…となると元から存在していた艦隊か、新規編成の艦隊という事なる。強いのか弱いのか、用兵巧者か凡将か…。

 「此方の考えを敵に見破られる恐れはないのでしょうか」
フォークが恐る恐るといった風に疑問を口にした。
「閣下のお考えは理解出来ますが、フォーク少佐と同じ思いの者も居るでしょう。そのあたり、どうなのでしょう」
ワイドボーンもフォークと同じ様な質問をぶつけてきた。だがワイドボーンの方は個人的な疑問というより俺の考えを皆に再認識させる為…といったニュアンスの質問だろう。さすが優等生、十年来の俊秀だね、よく自分の立
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