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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十八話 予期せぬ遭遇戦
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さな敵を屠って功を誇るなど無用だ。我々に察知されたと知れば、自然と退くだろう。放って置けばよい」
「…ですが発見した敵を放置しておけば、我々の動きを逐一アムリッツァに報告するでしょう。既に報告を完了し敵の増援が此方に向かっておるやもしれません。であれば尚の事、鎧袖一触のもとに撃破し、後の状況に備えるのが最良ではないかと愚考する次第であります」
「…卿の言う様に敵の増援が此方に向かってるとすれば、発信源など撃破しても既に無意味というものだ。それよりはヒルデスハイム伯と合流する事の方が余程重要だ。それに本当に叛乱軍の大部隊がいるのなら、我々単独ではなく協力して事に当たるべきだろう。戦うのであれば後日、大軍を以てして、だ。我が艦隊はまだ錬成途上だし、与えられた任務は哨戒だ。無理をする必要はない」
 不服そうだなシュターデン。お前は何を考えている、此方が哨戒任務なら発見した敵とておそらく哨戒が目的だろう。でなければでこの星系までくる筈はない。我々に発見される可能性を考慮して、動き易くする為の小規模なグルッペ編成とは思わないのだろうか。それに此方はまだ錬成途上の艦隊なのだ、戦闘や複雑な艦隊運動は出来る事なら避けたいのだ…。

 「しかし…本当にそれで宜しいのですか、閣下」
「…どういう意味かな」
「確かにヒルデスハイム艦隊の助力を得れば、何をするにしても状況は楽になるでしょう。しかしヒルデスハイム伯の助力を受けねば何も出来ぬ艦隊…等と心無い批判を受ける結果になりませんか?我が艦隊の初陣は汚され、伯の武名は増すばかり…大将とはいえヒルデスハイム伯爵は正規軍人ではありません。ましてや伯爵を支えているのはあのミューゼル少将、金髪の孺子…姉が皇帝陛下の寵を得ているのをいい事に、実力以上の階級を得ている成り上がり…このまま行けば奴の様な輩が軍を専横する事態になりかねません。その様な事は閣下を後押しなされたリッテンハイム侯もお望みではありますまい」
 言い終わるとシュターデンの顔には薄ら笑いがあった。こいつは私をリッテンハイム閥の代表者としてしか見ていないのだ。自分の戦術に固執し、それを通すのに派閥次元で物を言う男…戦う時とそうではない時の見極めも出来ない愚か者…。しかし、この男はブラウンシュヴァイク一門に近しい筈…なるほど、私の幕僚を自ら志願したと聞いていたが…そうか、リッテンハイム閥と目される私をブラウンシュヴァイク閥のこの男が支え勝利すれば、リッテンハイム侯に名を売る事が出来る、それと同時にリッテンハイム閥に恩を売ったとブラウンシュヴァイク公に取り入る事が出来る…。両者を天秤にかけた行動という事か。そして金髪の孺子…ミューゼル少将への対抗心…そうだな、ミューゼルは二十歳にもならずに少将、シュターデンからすれば面白くはあるまい。

 「卿はヒルデスハイム伯
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