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星河の覇皇
第八十五部第五章 北京宣言その三十四

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「悲しいことだ」
「養子を入れてもですね」
「それから実の子が出来るとな」
「その養子を邪険にするということは」
「それはだ」 
 まさにというのだ。
「人として間違っている」
「左様ですね」
「そうしたことをする人間は私は好きになれない」
「これも世にあるお話ですが」
「それなら最初からだ」
「迎え入れるべきでないですね」
「そうだ、血だけではだ」
「親子にならない」
 決してというのだ。
「そうですね」
「生みの親より育ての親ともいうしな」
「そうですね、自分達が共に過ごした時間も否定すると」
「後に残るのはな」
 それはというと。
「結果としてだ」
「自分も否定しますね」
「相手だけでなくな、最も愚かな自己否定だ」
 キロモトは言い捨てた。
「そしてそれに気付かないならな」
「尚更愚かですね」
「だからだ」
 それでというのだ。
「私はそうしたことはしない」
「若し実のお子さんが生まれても」
「そうなってもな」
 実はまだ夫婦で不妊治療も続けている、キロモトも妻も還暦を超えているが連合の医学では還暦を過ぎても出産が可能なのだ。
「それでもだ」
「宜しいですね」
「そうだ、あの娘はな」
「大統領のお子さんですね」
「そのことは変わらない」
 決してというのだ。
「何があってもな、私は自分をそこまで愚かだと思わないしな」
「そうした自己否定をする様な」
「そうも思っているしな」
 それでというのだ。
「あの娘に確かな愛情を感じている」
「その愛情がですね」
「私の宝だ。アメリカのFBIの初代長官フーバーもな」
 この彼もというのだ。
「大事にしたものがある」
「彼の家庭ですね」
「生涯独身だったが」
「同性愛者で、ですね」
「パートナーがいてな」
「そのパートナーを大事にしていた」
 半世紀にアメリカで隠然たる力を誇った彼も大切なものがあったというのだ。
「そして愛犬達もな」
「彼等も家族でしたね」
「誰もがそれぞれだ」
「大事にしている者がありますね」
「そうだ、まあ世の中自分だけという人もいるが」
「自分以外は全て嫌う」
「それもかなりな、そうしただ」
 キロモトは眉を顰めさせて述べた。
「どうかという人もいるが」
「中には」
「他人に愛情なぞ感じずな」
「ただ自分のことしか考えない」
「そうした人もいるが」
「大抵の人はですね」
「自分以外にもな」
 まさにというのだ。
「大事に思うものがだ」
「ありますね」
「そうだ、そして伊東首相はな」
「本質は趣味人ですね」
「その様だ、そして家庭もな」
 こちらもというのだ。
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