第八十五部第五章 北京宣言その三十三
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「これからもだ」
「大事にされますね」
「そうしていく、それとだ」
「それと?」
「家に三匹の犬がいるが」
「彼等もですか」
「宝だ」
そうだというのだ。
「私にとってな」
「そちらもですか」
「家族であるしな」
犬達もというのだ。
「やはりだ」
「宝ですか」
「掛け替えのないな」
「では彼等も」
「大事にしていく」
こうアッチャラーンに話した。
「そうしていく」
「大統領の大事なものは家族ですね」
「そちらだ。確かに大統領を目指した」
中央政府のそれをだ。
「そして私が為したい政策を進めているが」
「それでもですね」
「地位はなくなってもいい」
「しかしなくしたくない、最も大事なものは」
「家族だ」
それだというのだ。
「あくまでな」
「そうなのですね」
「そうだ、だからだ」
それでというのだ。
「これからもだ」
「ご家族をですね」
「大事にしていきたい、だが」
「だがといいますと」
「私は実の子供も欲しかったが」
「そちらの方はですか」
「出来ないものは出来ないな」
アッチャラーンに苦笑いで述べた。
「どうしても」
「そのことは」
「どうしてもだな」
「はい、子供は授かりもので」
「神仏からのな」
「得られることはです」
それはというのだ。
「望んでも得られない時があります」
「そうだな、そして私はな」
「得られませんでしたね」
「実子はな、だがそれでもだ」
欲しかったにしてもというのだ、キロモトはアッチャラーンに今度は達観した顔になって話をした。
「世の中全てが得られるか」
「それはですね」
「そうではない、だからな」
実子のことはというのだ。
「いいとな。妻にもな」
「お話されていますか」
「娘がいるし」
養子である彼女がというのだ。
「それでだ」
「受け入れられていますか」
「そうだ、娘とはずっと一緒にいたしな」
「絆はありますか」
「親子は確かに血でもなるが」
それは事実でもというのだ。
「長く共にいて絆でもだ」
「なるものですね」
「そうだ、それでなるものだからだ」
「娘さんとはですか」
「親子だ」
紛れもなくというのだ。
「そうだ」
「よく言われていますね」
「それがわからないならな」
親子とは絆によってもなるものである、このことがというのだ。キロモトはアッチャラーンに確かな声で話した。
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