暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第189話:神を殺す者と宿す者
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女は尚もアダムへの恋慕を失うことなく彼を求め続ける。

「アダムスキ、ダイスキ……。ダカラダキシメテ、ハナサナイデ。ドキドキシタイノ……」

 健気にアダムの言葉に従い続け、一途に思い続けるティキを彼は冷たい目で見下ろしていた。それが彼の中での、ティキと言う存在への想いを何よりも雄弁に物語っていた。

「恋愛脳め。いちいちが癇に障る……。だが間に合ったよ、間一髪」

 最早用済みとなったティキを、アダムはゴミでも扱う様に蹴り捨てた。

「――ナンデマタッ!?」

 器を失えば、神の力は形を失っても消えることはない。最初に響達がやろうとしていた事を、アダムは逆手に取って利用したのだ。器であるティキを敢えて破壊させる事で、神の力そのものが失われる事を防ぐ為に。

 問題は、次の器をどうするかであるが…………

「人形を……神の力を付与させる為の……」

 器として使える物はないかと周囲を見渡すアダムの目に入ったのは、つい先程引き千切ったばかりの自分の片腕。考えてみればこれもまた人形だ。ならば、使い様はある。

「断然役に立つ……こっちの方がッ!」

 アダムは引き千切った自分の片腕を天に掲げた。その腕に、神の力を付与させる為に。

「付与させるッ! この腕にッ! その時こそ僕は至るッ! アダム・ヴァイスハウプトを経た、アダム・カダモンッ! 新世界の雛型へとッ!」

 掲げられた腕へと、神の力である光の粒子が飛んでいく。これで神の力は自分の物だと、彼は己の勝利を確信した。
 だが、次の瞬間起こった事は彼の予想を超えていた。何と神の力が彼の腕を無視して何処かへと集まっていったのだ。

「どう言う事だ……ッ!?」

 神の力が流れていく先に何があるのかとそちらを見れば、そこに居たのは傷付いた響の姿があった。神の力はどう言う訳か、彼女の中へと流れ込んでいる。
 その光景には誰もが困惑した。アダムやカリオストロ達は勿論、力が流れ込んでいる響本人ですらも。

「な、に……これ」

「なっ!?」
「嘘でしょッ!?」

「どうしたの、えッ……?」

 訳が分からないと困惑する響だったが、彼女の混乱など知った事かと言わんばかりに神の力は全て彼女の中へと流れ込んだ。そして、全ての力を受け取った瞬間、彼女の体が眩い光に包まれた。

「あ……あ……ウアアアアァァァァァァァァッ!」

 目も眩むほどの光に包まれた響から、今度は根っこか何かの様な物が飛び出し周囲の建物に引っ付いた。そしてその先には、巨大な繭の様な物がビルとビルの間に吊り下げられる光景が広がっていた。

 それを見てアダムは信じられないと声を震わせた。

「宿せない筈……。穢れなき魂でなければ、神の力を……ッ!」
「人間は生ま
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