第一章
10.ロンダルキアの青空
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ローレシア王・ロスが、地面を蹴って踏み込んできた。
彼の剣筋は見えないだろう。仮に見えたとしても、自分がまともに反応するのは不可能。
フォルはそのように考えていた。
だから一か八か、杖を両手でしっかり握り、勘で前に出して受けるつもりだった。
無数の場数を踏んだであろう無駄のない腰のひねり。そこから、輝く剣の斬撃が放たれる。
それは、首を水平に薙ぐような軌道だった。
山を掛けたところに一致した。
「……っ!」
フォルは腕だけでなく、全身に強い衝撃を受けた。体の芯まで響く、すさまじいものだった。
同時に高い金属音が耳から脳の奥へと刺さる。
直後、視界の景色は何もかもが意味不明なものとなって、高速で流れていく。
なんとか目をあけていられたはずなのに、何が起きたのかわからない。
ふたたび全身へと響く衝撃とともに、超高速で流れた景色がロンダルキアの青空でとまった。
その視覚情報でやっと、先ほどバーサーカーの少女がそうだったように、しっかり受けられたはずなのに体ごと吹き飛ばされたのだと理解した。
激痛に耐えながら起き上がると、想像よりはるかに遠くにいる青い剣士。
「一瞬では、終わりませんでしたよ」
どうやら少女バーサーカーの二倍近くは飛ばされたらしい事実を確認しながら、そうつぶやいた。呼吸が苦しく声量があがらなかったが、当の本人に聞こえなくても構わなかった。
そして、また距離を詰めてこようとする彼に対し、フォルは杖を向ける。
「ギラ!」
「無駄だ」
杖のおかげか、覚えたてのギラとは思えないほどの大きな火球が発せられ、彼の全身が炎に包まれた。
しかし何も起きなかった。いや、まったく効かないことはないはずなのだが、アークデーモンがイオナズンの呪文を放ったときと同じく、何も起きていないようにしか見えなかった。
ロスが迫ってくる。
ふたたびフォルは、山を掛けて杖を出そうとした。今度は、右斜め上から左斜め下への斬撃を想定する。
受けになるのか、それともならないのか、フォルにはわからない。ただ、相手の速さにまったくついていけない以上は他にやりようがない。
これで駄目なら仕方がない、と杖を強く握って動かし始めた瞬間。
「――??」
音もなく、青く強い光と熱が、この場を満たした。
ローレシア王・ロスの動きがとまる。
「その宝石は……!」
驚く声。
フォルが祠の少女・ミグアにもらっていた、簡素なネックレス。その小さな青い宝玉が激しく光っていた。
周囲の青い光と熱は、ネックレスの宝玉にどんどん凝縮される動きを見せていた。
その様は、まるでロンダルキアのエネルギーすべてがこの宝玉に集まっているかのよう
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