第一章
10.ロンダルキアの青空
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もしれない。
しかし次の斬撃、おそらく致命傷になるであろう斬撃に対しても、フォルはギリギリまでしっかり目をあけていようと決めた。
が――。
「――!?」
フォルの目の前の地面、いや、ローレシア王・ロスの足元の地面が、突如大きく弾けた。
直後に、爆音。
イオナズンによるものではない。
宝石も、杖もない。もう何も起きないはず。なのになぜ?
そう思った瞬間にフォルも爆発に飲み込まれ、そのまま意識を失った。
− − −
「うわあ、ここがロンダルキアですか」
「そうだ。ただただ、白だけが広がる世界。それがこのロンダルキアだ」
「白だけ? 青と白ではなくて、ですか?」
「……なるほど。空を世界に入れたか」
「きれいな空の色です。サマルトリアで見た青より濃いです」
「ふむ。標高の高いところほど空の色は深く、濃く見えるからな。その意味では、世界で最も空がきれいな地はこのロンダルキアなのかもしれぬ」
「素敵なところなのですね」
「まあ、吹雪いて空が見えないときもあるがな……。さて、ではあそこに見える我々の大神殿まで歩くぞ。お前は私の下で働いてもらうことになる。着いたらすぐに大神官ハーゴン様のもとへあいさつに行こう」
「はい! よろしくお願いします」
− − −
「……」
目を覚ますと、そこに見えたのは、深く濃い青。
ロンダルキアの空をこうやって見るのは何度目だろう。フォルはそう思った。
立ち上がる。
鈍い痛みが走るが、あまり新鮮な痛みではないような気がした。
あれからどのくらいの時間が経ったのだろう。そう思いながら、近くにあった大きな岩に登った。
流れている川が見える。その手前に、作っていた墓場が見える。さらに手前には、爆発で荒れた地面が見える。
反対側を向くと、遠くに、かつて大神殿だった無数のがれきも見える。
ローレシア王・ロスの姿は、どの方角を見てもない。
もう一度近くを見直す。
――あった。
キラリと光るものを見つけたので、岩をおりてそこに向かった。
いかずちの杖。
「私はまだ、生きているようです」
一礼すると、フォルはそれを両手で拾った。
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