第二章
[8]前話
そのうえで弁当を食べた、その味はというと。
「そうか、美味しかったか」
「凄くね、おかずがね」
真央は家で父に話した。
「ぴりっとしてて」
「実はスペイン料理なんだ」
父はここでこう言った。
「おかずは」
「そうなの」
「パエリアに入れる様な」
そうしたというのだ。
「鶏肉やお野菜をそう料理したんだ」
「そうだったのね」
「ご飯に合う様にして」
白いそれにというのだ。
「作ったけれどな」
「美味しかったよ、ちいかわも可愛かったし」
こちらのことも話した。
「食べても美味しかったし」
「それは何よりだな」
「そうね、ただ」
ここで一緒にいた妻が夫に言った。
「あなたお家では」
「基本和食だな」
「それ作るのに」
「お弁当だからな」
それでとだ、彼は妻に答えた。
「それでなんだ」
「趣向を変えたの」
「家じゃ和食中心で」
自分からこのことを話した。
「それで真央もそういうのばかり食べてるから」
「お弁当ではなのね」
「別のものがいいと思って」
それでというのだ。
「スペイン料理を作ったんだ」
「そうだったのね」
「それもご飯に合う様にして」
そうした味付けにしてというのだ。
「作ったんだ」
「そこまでしたのね」
「それで好評でな」
娘の笑顔を見て自分も笑顔になって妻に話した。
「何よりだよ」
「それは何よりね」
「うん、ただ」
ここでだ、夫はこうも言った。
「お弁当も大変だね」
「普段お弁当の日は私が作ってるのよ」
「毎回だね、朝早く起きて」
「それで作ってるのよ」
「本当に大変だよ、そんなことをしてる奥さんに脱帽だよ」
「それがお仕事だし」
「いや、パートもしながらだから」
妻のこのことも話した。
「凄いよ、真央もそう思うだろ」
「うん、お母さん凄いよ」
真央は自分が思っていることを母に素直に告げた。
「私お母さんみたいになりたい」
「そうだな」
「そしてお父さんも凄いから」
「お父さんもか」
「あんなお弁当作ってくれたから」
だからだというのだ。
「お父さんの凄い、だから大人になったらお父さんみたいな人と結婚するの」
「ははは、そうするんだぞ」
「うん、絶対そうするから」
笑顔で言うのだった、そして二十年後のことだった。
夫婦は奇麗なOLに成長した娘に結婚を考えている相手を紹介された、その相手は本当に彼女の父によく似たサラリーマンだった。それで両親は彼女の子供の頃のことを思い出してそのうえで笑顔になったのだった。
料理上手のお父さんのお弁当 完
2024・1・26
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