第五十四話 八艘跳びその六
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「それ以上にな」
「人気はあるな」
シェリルはまさにと答えた。
「私は女隙が気になるけどな」
「いや、それはな」
「当時は普通か」
「あの人確かに女好きやったけどな」
このことは事実だったがというのだ。
「節度はあったさかいな」
「ええか」
「ああ、それでや」
「あの人は頼朝さんと違ってか」
「人気あるんや」
そうだというのだ。
「ほんまな」
「そやねんな」
「ああ、それで日本やどな」
中里はあらためて話した。
「義経さんがな」
「人気あるな」
「創作の世界でもな」
「昔からやな」
「人気があるわ、今も漫画にゲームにドラマに」
そうした媒体でというのだ。
「そやな」
「信長さん、新選組、龍馬さんと並んでな」
「人気があるな」
「そうや」
「美形で強い」
「実際は美形かどうかは知らんが」
これは違ったという話がある、ただし伝えられている肖像画を見ると決して悪いとは言えないかも知れない。
「そうした設定多いな」
「そうしたイメージやな」
「美形で戦の天才」
「小柄でな」
「戦闘力も強い」
「実際小柄やったらしいが」
このことは事実だった様である。
「しかし美形やったか」
「それはやな」
「実はちゃう」
「そうも言われてるんやな」
「あの人については」
「そうや、しかし強くて」
源義経はというのだ。
「常識外れのこともしてたわ」
「戦において」
「それで勝ってきた」
「戦の天才だけあって」
「そのことは事実やな」
「そうや、まあ結構あれなこともしてるな」
当時の戦の常識においてだ。
「船の漕ぎ手攻撃したりな」
「当時の日本ではそれはせんかったな」
「戦うのは武器を持つモン同士で」
「漕ぎ手は狙わん」
「そうしたルールやったな」
「そのルールを無視してな」
中里は四人に話した。
「壇ノ浦で勝ったわ」
「あの源氏と平家の最終決戦な」
「あの戦で平家は負けて滅んだな」
「そして多くの人が入水して果てたな」
「幼い帝も」
「そうなった戦でな」
この決戦は平家物語における見どころの一つである、まさにこの物語の主役達が滅んだ場面でもあるからだ。
「一ノ谷の鵯越えも常識外れやったが」
「またちゃう意味でな」
「壇ノ浦も常識外れやったな」
「それで勝った」
「そんな人やったな」
「ああ、天才やったんは確かや」
中里は言い切った。
「ほんまな」
「そや、兎角戦ではや」
芥川も言うことだった。
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