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神々の塔
第五十四話 八艘跳びその五
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「恐妻家でそのうえ浮気もする」
「女の人には嫌われるな」
「ほんまな」
「人気のない人やな」
「あまりにも嫌われていて」
 このことは古来からだ、判官贔屓という言葉が定着するまでに源頼朝は評判が悪い人物なのである。
「長い間お墓もなかった」
「そうした人やったか」
「暗殺説もある位や」
 落馬して死んだというのが定説になっているがだ。
「ほんまな」
「評判悪くて」
「人気がない、これが家康さんやとな」
「人気あるな」
「狸親父とか言われてるけどな」 
 これは謀略家であるとされ言われたことだ。
「あの人はあれでな」
「憎めんで愛嬌もあるな」
「威厳もあってな」
「それで家臣の人達も大事にしたな」
「弟さん達も大事にしたしな」
 異父弟達がいたのだ、彼の父親はその幼い頃に家臣に暗殺されている。
「それで約束もな」
「ちゃんと守る人やったな」
「優しかったしな」
「実は豊臣家もな」
「穏便に済ませたくてな」
「秀頼さんの息子さん実は」
「助けてるわ」
「猿飛家の分家の娘おるで」 
 シェリルが言ってきた。
「私等の同級生ね」
「ああ、真昼ちゃんな」
「テニス部の娘やな」
「あの娘猿飛家の分家で」
「今本家さんの方に住んでるな」
 羅とメルヴィル、施とトウェインもそれはと応えた。
「何でも妹さんが本家の子と許嫁になって」
「あの娘も一緒に、らしいな」
「大阪の実家から引っ越して」
「そうしてるな」
「猿飛家どころか十勇士のお家全部神戸におって) 
 シェリルはさらに話した。
「真田家もあるけどな」
「幸村さんのお家な」
「引っ越してやな」
「鹿児島からな」
「維新から」
「何で鹿児島におったか」
 真田幸村それに十勇士達がというのだ。
「大坂の陣で豊臣家は滅んで」
「秀頼さんも死んだ」
「表向きそうなってるけどな」
「実は逃げてて」
「幸村さんと十勇士がお供してたな」
「鹿児島まで逃れてた、しかし」
 それでもというのだ。
「幕府もそれは知ってた」
「それで黙ってだ」
「表向き死んだことにして」
「家康さんがそうせえって言うてな」
「そやったな」
「そや、それで秀頼さんの息子さんも」
 シェリルは彼のことも話した。
「同じ様にな」
「実は生きててな」
「木下家に匿われて」
「それで分家してたな」
「ずっと生きてたな」
「それを黙認したし捕まえた捕虜も忠義の心ありと言って結構助けてる」
 落ち武者狩りが激しかったという大坂の陣においてだ、家康は大野治長や長曾我部盛親の家臣をそう言って助けているのだ。
「そうしたところ見るとな」
「家康さんは優しいな」
「決して冷酷な人やないな」
「そやから人気あるな」
「そうしたところ
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