暁 〜小説投稿サイト〜
X ーthe another storyー
第五十三話 幸福その十

[8]前話 [2]次話
「少しずつ立って歩いていって」
「身体を確かにしていくことだね」
「そうしてくことよ」
「そうだね。とても長く寝ていたから」
 牙暁もそのことをわかっていて言った。
「そうするよ」
「それではね」
「これから起きた世界でも一緒だよ」
 牙暁は庚にあらためて告げた。
「ずっとね」
「そうね。それでは」
「これからもね」
「私達は一緒よ、そのうえで」
「それぞれやるべきことをやっていこう」
「そうしていきましょう」
 二人でこうした話をした、そのうえでだった。
 庚は議事堂に行き丁と話し牙暁は目覚めた。そしてそれぞれが為すべきことをしていくのであった。
 丁は庚と会って話した、その後で庚に言った。
「わらわは嬉しく思います」
「そう言ってくれるのね」
「貴女がわらわを本気で愛して心配してくれていて」
「素直に言うとね」
「そのうえで動いていてくれていたことに」
「けれど私は姉さんを救えなかったわ」
 庚はこのことは残念に思い述べた。
「けれどね」
「それでもですね」
「二人が救ってくれたわね」
「はい」
 確かな顔で答えた。
「彼等がわらわを」
「そうしてくれたわね」
「運命は変わりました」
 確かにというのだ。
「そうなりました」
「そうなったわね」
「有難いことに。そして」
 そのうえでというのだ。
「人間も地球もです」
「救われたわね」
「はい」
 まさにというのだ。
「そうなりました」
「よかったと言うべきね」
「庚、やはり貴女は」
「本当は人間を滅ぼすなんてことはね」
「望んでいなかったですね」
「私は嫌いではないわ」
 こう丁に話した。
「人間も人間の世界も」
「そうですね」
「だから地の龍を束ねていても」
 その立場でもというのだ。
「決してね」
「望んでいなかったですね」
「あくまで姉さんをよ」
「救いたかったのですか」
「そうだったわ」
「もう一人のわらわに気付いていたので」
「かなり早い段階でね」
 そうだったというのだ。
「それでね」
「わらわを救おうと」
「動いていたわ、それが果たされて」
「満足ですか」
「憎い筈がないわ」 
 丁に真面目な顔と声で話した。
「いつも相手にされていなかった私に優しくしてくれたから」
「これまで」
「だからよ」
 それ故にというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ