第五十三話 幸福その七
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「子供の」
「まあのう。しかしこれからはな」
「悪戯は程々に」
「そうせよ、よいな」
「わいも大人になるさかい」
「そうは言わんが迂闊な悪戯は時として身の危険になる」
そうしたものだからだというのだ。
「それでじゃ」
「控えるんやな」
「それは何故かわかるであろう」
「嵐もおるさかいな、今のわしは」
「だからじゃ」
「そやな、ほな」
「自重も覚えよ」
こう空汰に言うのだった、空汰は右手を頭にやって笑っていて嵐は両手を前にやって笑っていた。そうして今は高野山にいた。
??は祖父と自宅にいた、そこで共に夕食を食べているがその夕食のハンバーグカレーを食べて言った。
「美味しいです」
「そうだな、しかし霞月はカレーが好きだな」
「大好きです」
祖父に笑顔で答えた。
「僕は」
「そうだな、ではこれからもな」
「カレーをですか」
「多く作らせるからな」
それでというのだ。
「一緒にな」
「食べていいですか」
「家族だからな。それでお前がだ」
祖父は??にさらに話した。
「将来は私の跡を継いでな」
「会社をですか」
「やってくれるか」
「僕がですか」
「お前なら大丈夫だ」
こうも言うのだった。
「確かな人間だからな」
「僕が人間だから」
「そうだ、それで何かと学んでくれ」
「経営のことを」
「他のこともな。人間のこともな」
「学ぶことですね」
「そうしてくれ。人間は好きか」
??にカレーを食べつつ尋ねた。
「今のお前は」
「大好きです、誰かと一緒にいて」
??は確かな声で答えた。
「お話をして何かをすることは」
「好きか」
「本当に」
そうだというのだ。
「そうなりました」
「そうか、ならな」
??のその言葉を受けてさらに話した。
「これからもな」
「人間としてですね」
「交わっていくのだ」
その人間と、というのだ。
「いいな」
「そうしていきます」
??も答えた、それも強い声で。
「僕は」
「うむ、お前が孫であってくれてよかった」
祖父も笑顔で言った。
「ならな」
「これからもですね」
「一緒にいよう」
「家族としてですね」
「そうだ、ずっとな」
「わかりました、お祖父様」
「そう言ってくれるのも嬉しい、そして私だけでなくな」
祖父はさらに言った。
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