第二章
[8]前話
「元気だよ、触っても温かいしな」
「カイロみたいにね」
「何でなんだ」
首さえ傾げさせてだ、洋介は言った。
「ふわりこんなにあったかくて冬に強いんだ」
「犬はそうした生きものでも」
「特にな」
「それは当然って言えば当然ね」
母はここでこう言った。
「考えてみたら」
「何でだよ」
「だってふわりはトイプードルでしょ」
この種類の犬だというのだ。
「トイプードルってフランス生まれで水鳥を捕まえるでしょ」
「飼い主が銃で撃ち落としたな」
「お水に入ってね、フランスって日本よりずっと寒いのよ」
この国の気候のことも話した。
「冬は特にね」
「そうなんだな」
「パリだって宗谷岬より北にあるし」
その緯度はというのだ。
「そんな冬のお水の中にも入ることもあるし」
「寒さに強いか」
「トイプードルはね」
そしてその種類であるふわりもというのだ。
「そうなのよ」
「そういうことか」
「そうよ、だからね」
それでというのだ。
「考えてみればね」
「寒さに強いのも当然か」
「そうよ、だからそういうことでね」
「特に思うことはないか」
「冬に元気でもね」
息子に笑顔で話した、そうしてだった。
ふわりを見た、ふわりは暫く元気なままだったがやがて落ち着いて自分のケージの中で丸くなって眠りはじめた、親子でそんな彼女を見て自然と笑顔になったのだった。
フランスは寒いので 完
2024・1・23
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