第一章
8.悪魔神官の杖
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しかし考えている間に、バーサーカーが動いた。
「なるほどな。オレのオヤジ……オレらの頭領はお前に殺されたのか。ならまずお前を血祭りにあげてやる」
「あ、ちょっと待――」
フォルは制止は届かず、深紅の髪を乱しながらローレシア王に突進していく。
「オヤジの仇!」
鋭く振り下ろされた斧。
「……っ!?」
だがそれは、ローレシア王の左腕の盾でいとも簡単に受け止められた。
そして右手に持つ剣で、カウンターの一閃。
フォルの目では捉えられないほど鋭いものだった。
「あ゛あぁッ」
バーサーカーはそれを、持っている円形の盾で受けた、はずだった。
受けたはずなのに、大きな悲鳴とともにありえない距離まで吹き飛ばされていた。
攻撃が重すぎて盾を支えきれず、その盾で自らの上半身を激しく叩打するかたちになったのである。
「だ、大丈夫ですかっ」
フォルが転がるバーサーカーに慌てて駆け寄った。
差し出した手を彼女は振り払ったが、その動作に力はない。立ち上がるも、直後にふらついて膝が崩れた。
アークデーモンも、動く。
「……。なら呪文攻撃はどうだ?」
アークデーモンは右腕をやや引いて溜めを作ると、呪文を唱える。
「イオナズン!」
突き出された紫色の逞しい右腕、右手。その延長線上は、ローレシア王・ロス。
きらめく多数の細い筋の光が、彼の頭上すぐのところに集まっていく。
そして。
光が集まってできた火球が、轟音とともに大爆発を起こした。
ロスの姿は完全に見えなくなった。
爆風が、フォルの汚れたローブ、バーサーカーの赤いマントを激しく舞い上げる。
「やったか?」
だが煙が徐々に薄れていくと、その健在ぶりを誇示するようにシルエットが浮かび上がってくる。
「な……!」
一転、驚愕の声がアークデーモンの口から漏れる。
本来は神々が地上の人間たちに敬示を与えるために使用していたという呪文、イオナズン。
いつしか地上でもこの呪文を使えるものが現れ始め、今に至るという。その大爆発の威力はすさまじく、何かしらの超自然的な防具を身に着けていない限り、効かない人間などいない。
今のローレシア王がそのような防具を身に着けているようには見えない。盾だけでは防ぐことなどできないはず。なのに、体から煙を上げているだけで、悠然と立っていた。
「だめです! 戦っても勝てません。ここは逃げてください」
フォルは二人にそう訴えた。
「逃げろだと? ふざけるな!」
「そうだ。オレは戦う!」
「お気持ちはわかります。ですが相手が悪すぎます! 死にます!」
「かまわん! 邪魔だ! どけ!」
「ど、どきません
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