第一章
[2]次話
編集者の仕事
編集者としてだ、山本勉はいつも己の仕事に励んでいた、彼の担当はライトノベル作家の高山一彦であるが。
彼にだ、いつも言っていた。
「やっぱり面白いことですね」
「作品は、ですね」
「面白いといっても色々で」
それでというのだ。
「読者さんに訴えたり話しかける」
「そうしたものがあることですね」
「そうです、そうしたものがあれば」
「いいですね」
「そして売れます、先生の中にあるものをです」
大人しい感じの太っていて一七五程の背で黒髪を真ん中に分けた彼に言うのだった、山本の外見は銀行員の様な真面目な雰囲気の眼鏡と小さな細い目の顔立ちで黒髪をオールバックにしている、中背で痩せている。全体的に疲れた感じだ。
「ぶつけます、そしてです」
「山本さんはですね」
「それを受けて」
そうしてというのだ。
「一緒に仕事をします、言うならです」
「作家がピッチャーですね」
「編集者はキャッチャー、そうなっています」
「そうなんですね」
「ですから先生はピッチャーになって」
そのつもりでというのだ。
「ご自身をどんどんです」
「ぶつけるんですね」
「全力で、私は先生をリードします」
「キャッチャーとして」
「はい、ただ」
ここで山本はこうも言った。
「私は強気のリード自分が全部仕切るリードはしないですね」
「キャッチャーといっても色々で」
「有田修三みたいなです」
近鉄のキャッヂャーだった人物だ、鈴木啓示とのバッテリーで知られ強気のリードと勝負強いバッティングがウリだった。
「ことも出来ないし野村さんみたいな」
「全部わしがやる、という風な」
「そうしたリードもです」
「されないですね」
「はい」
そうだというのだ。
「そうしたタイプではないです」
「いつもそう言われていますね」
「一番いいボールを受ける様な」
「伊東勤さんですね」
西武ライオンズ黄金時代のキャッチャーである、後に西武やロッテの監督を務め中日のヘッドコーチだったこともある。
「あの人みたいな」
「そうかなと考えています」
「そうですね」
「もう編集者はです」
「キャッチャーですね」
「我を出す人もいますが」
「強気だったり自分で仕切る」
その有田や野村の様にというのだ、野村はピッチャーだけでなく相手バッターを出塁した時まで調べてリードをしていたのだ。
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