暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第188話:神の力の顕現
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
アダムは、何と蹴りで弾いてしまった。

「小賢しい真似をッ!」

 特大の鉄球を弾き、明後日の方へ飛んでいく。その瞬間アダムの視線はその鉄球の方へと引き付けられ、束の間下方への警戒が僅かにだが疎かになった。彼らはこれを待っていたのだ。

 アダムは先程から上から見下ろすばかりで、自身が上の方に視線を向ける事を殆どしない。それが彼にとっての最大の弱点。自分が見下ろす側になっている事になれた者は、見上げる事に慣れないもの。自分が見上げた事で、下がどうなっているかを考える頭が一時的にだが欠如するのである。

 それを狙って、切歌は一気にアダムへと肉薄した。

「隙あり、デースッ!」
「ッ!?」

 プレラーティの鉄球はアダムの目から切歌を隠す為のフェイク。鉄球が炎の壁を突き破る瞬間、彼女は鉄球を繋ぐ光の紐に掴まりアダムの近くまで接近していたのだ。そして、アダムが鉄球を何らかの方法で弾くのを待ち、弾かれた瞬間離れて肩のバーニアを噴かして大鎌を振り抜いた。
 これにはアダムも反応が遅れ、直撃は回避できたが左腕を切り裂かれてしまった。

「ぐぁぁっ!?」
「響さんッ!」
「ハァァァァァァァッ!」

 切歌に左腕を切られた事で、アダムの体勢が大きく崩れた。今までロクに攻撃など受けた事が無いのだろう。慣れていない痛みに、仰け反るアダムの姿は隙だらけであった。
 そこに響が拳を叩き込む。無防備なアダムの腹に握り締めた拳を捩じ込み、ボロボロになった境内へと叩き落したのだ。

「ぐはっ?!」

 アダムが殆ど土を剥き出しにした地面に叩き付けられ、それに遅れるような形で響と切歌が着地する。予想外の大きなダメージを受けたからか、アダムは立ち上がるのにも苦労している様子だ。

「今だッ! アダムが満足に動けないでいるうちに、ティキを破壊するワケダッ!」

 今が好機と言うプレラーティの言葉に、響も再び跳躍してティキの破壊を狙う。が、その前に立ちあがったアダムに目を向け、彼女は思わず息を呑んだ。

「あっ!?」

 否、響だけではない。ガルドも切歌も、アダムを良く知る元幹部だった2人までもが、立ち上がったアダムの姿に言葉を失った。
 正確に言えば、先程切歌に切り裂かれた左腕。そこに5人は”ある物”を見てしまった事で折角の勢いを失ってしまったのだ。

 そこにあったのは、切り裂かれて血を流す傷口……ではなく、人の身ではあり得ない管と飛び散る火花であった。

 それが意味するものとは、つまり…………

「アンタ、まさか……!?」
「錬金術師を束ねる結社の局長が……」
「人形、なのか……?」

「ッ!? 人形だと……?」

 アダムの腕は、彼が人間ではない事の証明であった。今の今まで全く知る由も無かった
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ