第二章
[8]前話
「潰れるぞ」
「最近どの家も風呂あるしな」
「それで実際お客さん減ってるしな」
息子もこのことはわかっている、それで言うのだ。
「だからな」
「ここはか」
「ああ、そうしてな」
そのうえでというのだ。
「お客さんに来てもらう様にしような」
「お金かかるでしょ」
母が息子に言ってきた。
「サウナとか水風呂とか電気風呂とか」
「ああ、もう店の中を完全にな」
それこそとだ、息子は母にも答えた。
「変えるからな」
「だったらね」
「けれどうちの店結構古くなってきてるしな」
「建て替えるってこともあって」
「それでな、この機会にな」
「そうするのね」
「ああ、そうしたらどうだ」
こう母に話した。
「ここは」
「そうね、それじゃあ」
「やってみるか」
夫婦で息子の言葉に頷いてだった。
実際に店を新築に近いまでに改築してサウナと水風呂をもうけ電気風呂も用意した、またシャワーもそれぞれの鏡のところに置いた。
金はかかった、だが。
「サウナが気に入ってくれてな」
「それでか」
「ああ、うちに常連のお客さんがついてくれてな」
古稀になっている隆賢は馴染みの客に話した。
「そしてな」
「今もお店やっていけてるんだな」
「そうなんだよ」
常連の客の一人が店の番台の前で牛乳を飲んでいる同年代の常連の彼に話した。
「これがな」
「そうなんだな、俺はこっちに来たのは五十になってからでな」
「このこと知らなかったか」
「ああ、しかし若しな」
「サウナとか置かなかったらな」
「この店潰れていたかもな」
「そうだろうな」
隆賢もそうなっていたと返した。
「やっぱりな」
「銭湯も工夫が必要だな」
「金かけてもな」
「その時そうしてもな」
「店を続けようと思ったら」
「そうしたことも必要だな」
「だから今もこの店やっていけてるんだよ」
客に笑顔で言う、そしてこの日も一家で風呂屋を切り盛りしていくのだった。当然そこにはサウナも入っていた。
サウナを置くと違う 完
2024・1・20
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