第二章
[8]前話
すぐに話がまとまった、しかもお互いにとってかなりいい形だったので戻ってきた侵入の報告を聞いて驚いて言った。
「短期間でこんな条件でなの」
「認めてもらいました」
「凄いわね。こんなお互いにいい条件でお話をまとめるなんて」
谷崎は驚きの顔のまま言った。
「信じられないわ」
「そうですか」
「ええ、それで次のお仕事は」
だが今会社は多忙を極めている、それであらためて言うのだった。
「書類のサインね」
「わかりました」
「多いわよ、これだけよ」
厚さ二十センチはある書類の山を出して。
「お願いね」
「今からはじめます」
「的確でね、時間かけていいから」
こう言って任せた、すると。
その日のうちに終わった、それも内容をチェックすると的確だったので谷崎はまた驚いた。
「今度もね」
「いいですが」
「その日のうちに終わらせてこれって」
唸って言うのだった。
「あなたひょっとして出来る?それなら今度はね」
「何をすればいいでしょうか」
「それはね」
今会社で抱えている一番大変な仕事に参加させた、すると。
彼が主力となって働いてその仕事を迅速かつ的確に終わらせた、ここで谷崎は確信した。
「新入君、貴方出来るわ」
「そうなんですね」
「自覚ないみたいだけれど、この忙しい状況乗り切ったらボーナス出すわ」
彼に笑顔で言うのだった。
「そうするわね」
「有り難うございます」
「皆にも出すけれど」
功労を労るボーナスをというのだ、会社の業績はいいのでそれが可能なのだ。
「大切に使ってね」
「それじゃあ」
「しかしピンチにこんなに活躍してくれるなんて」
谷崎は新入に唸って言った。
「意外だったわ、けれどこれからも宜しくね」
「はい、やらせてもらいます」
「頼りにしてるから」
侵入に笑顔で告げた、そしてだった。
以後侵入は会社のエースとして活躍する様になった、特に大変な時に活躍するので有り難がられた、そうして会社の業績を挙げていった。だが彼は地味な外見のままで目立たなかった。そんな彼をエースと言われても彼を知らない者は誰もが驚いた。
ピンチに本領発揮 完
2024・1・19
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