第一章
[2]次話
ピンチに本領発揮
小さな会社は大忙しだった、社長の谷崎亮子面長の顔で小さな奇麗な目と色白の肌にピンクの小さな唇と黒い後ろで束ねた髪の毛とすらりとした小柄な身体の彼女は今言っていた。
「親会社いや祖父会社の八条自動車もね」
「大忙しですよね」
「今は」
「ええ、だからね」
そちらがそうした状況だからだというのだ。
「うちの会社もよ」
「この有様ですね」
「今は大変ですね」
「親会社も他の系列会社もよ」
それこそとだ、社長の席で仕事をしつつ社員達に言うのだった。
「大変だから」
「皆で、ですね」
「頑張ることですね」
「そうしてね、それでよ」
ここでだ、谷崎は。
社内の片隅にいる黒髪をショートにしていて丸眼鏡をかけていてやや面長の顔の地味そうな顔立ちの社員新入通に言った。背は一七〇位で痩せ気味でかなり地味な外見だ。
「新入君にもよ」
「僕にもですか」
「頑張ってもらうわよ」
こう言うのだった。
「いいわね」
「は、はい」
「あのね、君も社員なのよ」
地味な彼に言うのだった。
「何も言わないし目立とうともしない感じだけれど」
「それでもですか」
「もう何でもね」
それこそというのだった。
「お仕事言うから」
「やって欲しいですか」
「すぐに広島の八条自動車広島支社に行ってきて」
早速仕事の話をした。
「それであちらとお話をまとめてきて」
「わかりました」
「あっちも大変だからお話は難航するでしょうけれど」
それでもというのだ。
「じっくりとね」
「時間をかけてですか」
「お願いね」
「行ってきます」
新入は大人しい声で頷いてだった。
準備が整うと広島に発った、谷崎は新入はこれまで仕事が出来る風ではなかったので期待していなかった、だが。
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