第二章
[8]前話
「だからこの娘は念入りにだよ」
「面倒見ていますね」
「獣医さんも」
「そうしてるよ、ただ」
獣医は確かな声で話した。
「もう命に別条がないし」
「後は回復するだけですか」
「そうですか」
「うん、焦らないでいてくれ」
今はというのだ。
「治療もだ」
「じっくりですね」
「そうしないと駄目ですね」
「ああ、折角助かったんだからな」
この団体に保護されてというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「余計に焦らずですね」
「やっていくんだ」
こう言ってだった。
獣医は六匹の子猫達特にミーブスを治療していった、すると彼女も他の子達も徐々にだが元気になってだった。
もう安心していいという状況になって里親が募集され六匹揃って心ある人に里親に迎えられたが彼等を見送ってからだった。
コージマーはウォーカーにだ、こう話した。
「焦らないでよかったな」
「早く何とかしようとですね」
「獣医さんに言われてな」
「すぐに治療を終えて里親を探すんじゃなくて」
「じっくりとな」
「治療して」
「元気になってからな」
それからというのだ。
「里親を募集してもな」
「いいですね」
「早く数われて欲しいんじゃなくてな」
「そうでなくて」
「じっくりとな」
ことを進めてというのだ。
「幸せになる様にな」
「していけばいいですね」
「獣医さんの言う通りだよ」
まさにというのだ。
「じっくりとでいいんだよ」
「幸せになってもらうのは」
「そうだよ、俺達は焦ってるつもりはなくても」
「無意識にはですね」
「なってるかも知れないからな」
だからだというのだ。
「これからは」
「じっくりとですね」
「やっていこうな」
「そしてここの子達にですね」
「幸せになってもらおうな」
「そうですね」
二人で話して実際にだった。
二人共仕事ぶりはじっくりとしたものになった、そうして生きもの達を幸せにしていった。彼等に心から寄り添って。
顔を出していた猫 完
2024・1・18
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