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邪教、引き継ぎます
第一章
7.ローレシア新国王
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いけるんだろ?」
「いや、そのつもりは」
「だが俺らはそうするわけにもいかない。いずれ人間たちが大挙してロンダルキアへ残党狩りに来るかもしれない。俺らは『討伐され待ち』だ。こんなバカな話があるかっ」
「ぐふっ」

 またまたフォルが転がる。
 バーサーカーも胸倉をつかんでフォルの体を引き上げ、続く。

「そうだ! 責任取れっ!」
「お、落ち着いてください。それより今後についてご相談を」
「うるせえ!」
「うあっ」

 またまた放り投げられる。
 その後も殴る蹴るの暴行を受け続け、ついに握力を失ったフォルの手から悪魔神官ハゼリオの杖が離れ、遠くに飛んでいった。

「あ」

 フォルが痛みをこらえながら、転がるように杖を取りに行く。

「なんだこいつ。殴られっぱなしかよ」
「やり返せないだけだ。前に俺らの山に来たときもそうだった」

 吐き捨てる二人。
 いっぽう、フォルはせき込みながら立ち上がった。

「あなたがたは、同志、です……。この先どうすればいいのか、相談を、したいです」

 そう声を絞り出した、そのときだった。

「今後の相談、か。それは聞き捨てならないな」

 遠くから、さらに新しい声がした。

 それは、若い人間の男性の声だった。
 そしてフォルにとっては、聞き覚えのある声。

 その方角、先ほどバーサーカーが現れた岩の上を、見た。

「……!」

 これまで蓄積された痛みを一瞬で忘れるほどの悪寒が、フォルの全身を駆け抜けた。

 片膝立ちからゆっくりと立ち上がり、外套を脱ぎ捨てた、体躯のよい人間。
 ゴーグルをつけた青いメットに、青い服。左手に盾を持ち、背中には剣を背負っていた。
 あのときとは恰好が少し違う。だが誰なのかはすぐわかった。

 なぜ、ここに――。

 それは、破壊神をも破壊した男。
 ローレシアの王子、いや、ローレシアの新国王であった。
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