第五十三話 半ばを過ぎてその二
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「続けることだ」
「そうですか」
「そなた達もな」
「それが大事ですね」
「さすれば必ずだ」
「得られるもんを得られますね」
「左様、何ごともはじめねばはじまらず」
そうしてというのだ。
「そしてだ」
「そのうえで、ですね」
「続けてだ」
「最後まで果たしてこそ」
「得られる」
「ほなここで諦めたら」
どうかとだ、メルヴィルは言った。
「それで、ですね」
「何もならない、途中で止めても得られるものはあるが」
「途中までのものでしかないですね」
「そうだ」
所詮はというのだ。
「そうなるのだ」
「そうですか」
「それでだ」
「わし等もですね」
「最後まで行け、よいな」
「そうします」
メルヴィルは確かな声で応えた。
「あと半分ですし」
「気付けば半分かようやく半分か」
「気付けばです」
「なら速いぞ」
神霊はメルヴィルの今の返答に笑って述べた。
「そう思うならな」
「気付けばならですか」
「ようやくと思うなら時を長く感じている」
「そやけど気付けばならですね」
「早く感じているということだ」
「ほなわし等は」
「あっという間にな」
「踏破していますか」
「まさに気付いたらな」
その時はとというのだ。
「そうなっている」
「そうですか」
「それならよい、ようやくと思うよりもな」
気付けばならというのだ。
「まさにな、ではな」
「これからも」
「行くのだ」
「それでは」
「あとくれぐれもな」
ペルーンはこうも言った。
「食いものと飲みものはな」
「口にすることですね」
トウェインが応えた。
「人は」
「わし等もそうだが」
それでもと言うのだった。
「人は飲んで食わぬと力が出ぬな」
「果ては餓え死に渇き死にします」
「神霊は死なぬがな」
「そやけど人や生きものはそうなります」
「そうであるからな」
だからだというのだ。
「しっかりとな」
「飲んで食うことですね」
「そうだ、よいな」
「そうしたことも忘れへんで」
「先に進むのだ、よいな」
「ほなそうしていきます」
「前にこの塔を踏破した者だが」
ここでペルーンはこんな話もした。
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