第百十三話 野球の世界は広いその五
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「もうね」
「巨人ばかりで」
「巨人巨人で」
「皆巨人だったのよね」
「それは違うよ」
「野球は巨人だけじゃないからね」
「むしろ野球の中の一チームだよ」
それに過ぎないとだ、達川は断言した。
「それだけだよ」
「巨人はね」
「そんなカルト教団みたいに」
「あれもこれも巨人って」
「野球が狭くなるよ」
「もっともっと広いのよね」
「そう、野球はね」
このスポーツはというのだ。
「世界的なスポーツになっているから」
「巨人にこだわらなくていいわ」
「そうだよ」
まさにというのだ。
「まして今の巨人なんて」
「万年最下位だし」
「いいところないからね」
「弱いし不祥事ばかりで」
「お家騒動も多くてね」
「いいところないわね」
綾乃も言い切った。
「本当に」
「そうだからね」
「あんなチームを主人公にするなんて」
「ギャグ漫画でもね」
「もうないわね」
「だって洒落になってないから」
「巨人の弱さと悪事は」
こうしたことはというのだ。
「練習しないしチームの柄も悪いし」
「まさに半グレ集団だからね」
巨人のベンチはというのだ。
「監督さんやコーチの人達までね」
「半グレみたいでね」
「滅茶苦茶柄悪くて」
それでというのだ。
「毎晩歌舞伎町とかで飲み歩いて」
「暴れてて」
「練習もしないから」
「試合開始直前まで遊んでる選手多いのよね」
「お酒飲んでね」
デーゲームでもそうだ、何と巨人の選手達は昼どころか朝から飲んでいてそのうえで試合に出ているのだ。
「それでね」
「そうよね、そんなチームはね」
「ギャグ漫画でもだよ」
達川は顔を顰めさせて言った。
「主人公にはね」
「なれないわね」
「とてもね」
「むしろ悪役よね」
「それもチンケな」
「そうよね、イキってて瞬殺される」
一華はこう言った。
「どうにもならないね」
「そんな役どころだよ」
「今の巨人はね」
「もう巨人イコール野球なんて」
球界の盟主なぞと自称してだ。
「誰もね」
「思わないわね」
「思う筈はないよ、プロ野球の作品でも」
「巨人は出ないことすら多いわね」
一華はそれは何故かも話した。
「弱過ぎてね」
「名前出るだけでね」
「三連勝したって書かれて」
「終わりだね」
「いや、そんなチームは」
一華はあらためて言った。
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