第百十三話 野球の世界は広いその四
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「その雑誌も」
「だから同じだなってね」
「そう思ったのね」
「中もね」
図書館のというのだ。
「同じだね」
「商業科と工業科で」
「そうだよ」
「同じ学園だから」
「同じ建て方なんだね」
「そういうことなのね、しかしこうして一緒に野球の本とか新聞読むって」
一華は達川に顔を向けて笑って話した。
「入学の時は思いもしなかったわ」
「俺もだよ、工業科って男子ばかりだから」
「こうしてなのね」
「女の子と一緒にいられるなんて」
「思わなかったのね」
「工業科は商業科や農業科の娘と付き合うって聞いてたよ」
「逆に商業科や農業科の娘はね」
一華も一華でこう返した。
「工業科や水産科の子とね」
「付き合うって」
「聞いてたけれど」
それでもというのだ。
「こうしてね」
「一緒にいられるとか」
「思わなかったわ」
そうだったというのだ。
「本当にね」
「そうだったんだ」
「けれど一緒にいられて」
笑顔でだ、一華は達川に言った。
「嬉しいわ」
「俺もだよ、いいよね」
「二人で本を読むのもね」
「野球の雑誌とか本よく読んでるんだ」
達川は一華に話した。
「俺普段から」
「そうなの」
「うん、日本のプロ野球とか高校野球だけじゃなくて」
「大学野球とか職業野球とか」
「あと八条リーグもあるし」
こちらのことも言うのだった。
「それにメジャーに台湾、韓国、メキシコって」
「野球の世界も広いわね」
「最近は中国や欧州でもやってるし」
こうした国々でもというのだ。
「世界的にね」
「広がってるわね」
「野球人気は色々言われるけれど」
「上がったとか下がったとか」
「サッカーと比較する人もいるし」
「色々言う人いるわね」
「けれどね」
それでもというのだ。
「世界的に広まっていることはね」
「事実よね」
「だからね」
「野球の世界も広いわね」
「巨人だけとか」
この存在だけで忌まわしいことこの上ない善人類普遍の敵である邪悪と悪徳に満ちたチームはというのだ。
「大間違いだよ」
「昔の野球ってそうだったのよね」
「もう猫も杓子もね」
そうした感じでというのだ。
「巨人ファンでね」
「北朝鮮みたいだったのよね」
「巨人軍大鵬卵焼きって」
「昔は言われていて」
「野球漫画の主人公なんか」
非常に陳腐なステレオタイプなことでだ。
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