最終話 素敵な想い出その八
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「やっていきましょう」
「そうだね、一緒にね」
「花育ててね」
「家族で成長していこうね」
夫も優しく応えた、そしてだった。
咲は朝食の後でだ、母に言った。
「モコのお散歩行っていい?」
「いいわよ、まだ行ってなかったし」
「それじゃあね」
「ええ、それじゃあね」
「僕お義父さんと付き合って野球の話するよ」
夫はこう言ってきた。
「西武ファンとしてね」
「お父さん所沢にいたし」
「ちょっとお話したいからね」
「じゃあ花と一緒にね」
「行って来てね」
「それじゃあね」
こう話してだった。
娘と一緒にハナの散歩に出た、ハナは老齢だがそれを感じさせない元気さで歩いている、その彼女を見てだった。
娘は笑顔でだ、母親に言った。
「ハナちゃんって元気ね」
「凄くね、けれど花よりもね」
「お姉ちゃんなの」
「お婆ちゃんよ」
こう言うのだった。
「もうね」
「そうなの」
「犬は人間より歳取るのが早くて」
それでというのだ。
「ハナはお姉ちゃんじゃなくてね」
「お婆ちゃんなのね」
「年齢は十歳年上でも」
生きた歳月はというのだ。
「もうお婆ちゃんなのよ」
「ハナちゃんお婆ちゃんなの」
「そうなのよ、覚えておいてね」
「うん、ワンちゃんは人間より早く歳を取って」
「お婆ちゃんなのよ」
「わかったわ」
「それでこの道ずっとね」
咲はそちらの話もした。
「お母さんが歩いてたのよ」
「そうなの」
「お母さんが生まれてからね」
それからというのだ。
「ずっとね」
「歩いてたの」
「そうだったのよ」
こう話すのだった。
「子供の頃からね」
「お母さんが」
「学校に行って」
そうしてというのだ。
「本屋さんに行ってね」
「あの本屋さん?」
「そう、あの本屋さんよ」
丁度見た大きめの二階建ての店を見て答えた。
「あの本屋さんにもね」
「この道を歩いてなの」
「行ってたのよ、あとね」
「あと?」
「渋谷にもね」
思い出のその場所の話もした。
「行ったわ」
「渋谷にもなの」
「そうよ、後で行きましょう」
渋谷にもというのだ。
「これからね」
「それじゃあ」
「それでね」
「それで?」
「喫茶店に行きましょう」
ここで娘に言った。
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