第六章 贖罪の炎赤石
第一話 覚悟
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。
既に深夜であるにも関わらず、ルイズたちの母親は娘たちに会うのを明日にすることなく、テーブルの上座に控え、娘たちを待っていた。
ルイズたちの母親――ラ・ヴァリエール公爵夫人はそれぞれの席に着いた娘たちを見回す。
その視線は士郎へも向けられた。
あ〜……これは確実にルイズたちの母親だな。
歳は四十過ぎぐらいに見える。炯々と輝く瞳はまるで刃物だ。頭の上で纏められた桃色がかったブロンドから、どうやらルイズとカトレアの髪の色は母親譲りらしい。そして、エレオノールの威圧感は母親譲りのようだ。
こちらに目を向ける本家本元たる公爵夫人が身に纏う威圧感はエレオノール以上だ。
サーヴァント並みだなと、身震いする士郎の前で、晩餐会が始まる。
カチャカチャと銀のフォークとナイフが食器の上を滑る音だけが響く中、人の声が響く。
それはルイズの声だ。
「あ、の……お母さま。お話しがあるのですが」
「……」
ルイズの声に、公爵夫人は何も答えない。代わりにエレオノールが声を上げようとしたが、それよりも早くルイズが再度声を上げた。
「っ! お母さま! お話しがあるのです!」
「はぁっ!?」
「まあ!」
「…………ふぅ」
椅子を蹴倒しながら立ち上がり叫んだルイズに、エレオノールやカトレアが驚きの声を上げ、公爵夫人は小さく息を吐くと、口元を上品に拭きルイズに顔を向けた。
「話しというのは、あなたが戦争に行くという話しですか?」
「そうです」
「話しをするのは構いませんが、決めるのはお父さまです。どうしても行きたいというのならば、お父さまを説得なさい」
「……そのお父さまは何時帰ってくるのですか」
「明日には帰ります。それまで待ちなさい」
「……はい」
静かに告げた公爵夫人の言葉に、ルイズは静かに頷くと椅子に座った。
そうして、この日の晩餐会は終わった。
自分のために用意された部屋の中に置かれていたベッドの上で、士郎は横になって天井を眺めていた。
思い出すのは晩餐会でのルイズの叫び。
戦争……か……。
目を閉じると走馬灯のように過ぎる戦場の記憶。
悲鳴怒号嬌声……様々な感情が渦巻き……溶け合い……燃え上がる場所。
目を開ける。
そこには薄暗い天井が広がるのみ。
行くべきではない。
それは変わらない気持ちだ。
戦場は英雄譚で描かれるようなものではないことを、士郎は身をもって理解している。だからこそ、ルイズの戦場へ行くという言葉を否定した。王宮がルイズの力を求めるというのならば、代わりに自分が行く。必要ならば力を見せればいい。そう考えていた。
だが……。
『だけど……わたしはあなたを止めません。シロウ
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