第六章 贖罪の炎赤石
第一話 覚悟
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周囲には深い堀がほられ、城壁が城の周りを囲っている。
今この瞬間一軍が攻め込んでも、ある程度抵抗できるくらいの威容を誇っていた。
「シロウさん。もしかしてアレ、ですか?」
「どうやらそうらしいな」
呆れる士郎たちの前に、大きなフクロウが窓から入り込んできた。フクロウは羽をばたつかせると、開いている座席の上に降り立った。全員の目がフクロウに向かうと、フクロウは羽を折りたたみながら、まるで人のようにお辞儀をする。
「おかえりなさいませ。エレオノールさま。カトレアさま。ルイズさま」
「ひっ! ふ、フクロウがしゃべ、しゃべ――」
「落ち着けシエスタ。これは使い魔だ。喋っても変ではない」
パニックを起こしかけたシエスタの頭を撫で落ち着かせる士郎の横で、カトレアがフクロウに話しかける。
「トゥルーカス、母さまはどこに?」
「奥さまは、晩餐の席で皆さまをお待ちしています」
「それじゃあ父さまは?」
「旦那さまは未だお帰りになられておりません」
「あらそうなの?」
カトレアが前に座るルイズに顔を向ける。戦への参加の許可は父から得なければならないに、その肝心の父がいない。そのことにルイズは隠すことなく不満な表情を浮かべていた。
馬車が近づくにつれ、堀の向こうに見えていた門の姿がハッキリと現れる。
馬車が停止する。
目の前の門は、仰げば首が痛くなるほどの大きさだ。巨大な門柱の両脇には、門と同サイズの巨大な石像がいた。巨大な石像は重々しい音を響かせながら、跳ね橋に取り付けられた鎖をおろし始める。
地響きを立て跳ね橋がおりきり、馬車が進みだす。
……城には随分と縁があるな。
士郎はルイズの実家である城の中に入ると、その豪華さを眺めながらしみじみと思った。
あの聖杯戦争から、城にはどうにも縁が合うようだと。
冬木の森に隠されていたイリヤの城に、イリヤの実家のアインツベルンの城。
執事の仕事をしていた際に連れて行かれた(強制的に)ルヴィアの実家の城。
……後は思い出したくもないアルトの城……豪奢な洋装の廊下を、血を吸ってあげようかと笑いながら追いかけてくる少女……あれはもうトラウマの域だな……。
嫌な過去が思い出され、背中に冷や汗が流れるのを感じているうちに、士郎たちはダイニングルームへと辿りついたが、そこにはシエスタの姿はなかった。シエスタは士郎たちについて行かず、召使たちの控え室に向かったが、士郎はルイズの使い魔ということで、ルイズたちに同伴することになったのだ。
ダイニングルームには三十メイルはあろう長いテーブルがあった。
ルイズたちは迷うことなくそれぞれの椅子に座り始める。
士郎はルイズの後ろに護衛のように控えた
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