第六章 贖罪の炎赤石
第一話 覚悟
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め息を着きたくなるが我慢する。そして見たことも無いバーガンディ伯爵に同情していた。いくら美人だろうが、性格がこれじゃあ、どうしようもないなとうんうんと内心頷く。
怒りが収まらないのか、エレオノールのルイズへの攻撃は収まらない。
椅子の上、縮こまったルイズを、エレオノールが甲高い声で説教をし始めた。
ルイズの瞳が涙に潤みだし、今にもこぼれ落ちそうな様子に士郎が流石にと止めようとすると、旅籠のドアが音を立てて開き、外から桃色の髪を靡かせながら人影が飛び込んできた。
人影は広いつばの帽子の隙間から長い桃色の髪を靡かせ、体の線が見えるドレスをひらめかせながらルイズたちに向かって駆け寄っていく。
歳は二十代半ばだろうか、帽子の下にある顔は一見して美人と言える顔立ちなのに、身にまとう雰囲気や、柔らかな表情から、美人よりも先に可愛いという言葉が浮かぶ。ルイズと同じ桃色がかったブロンドや鳶色の瞳からルイズの姉だろうと予測を付ける士郎の目の前で、その女性がエレオノールに抱きついた。
「か、カトレア?」
「エレオノール姉さまお久しぶりです! 立ち寄ってみた旅籠でエレオノール姉さまに合うなんて! 今日は何て素晴らしい日なの!」
「ちょ、カトレア、やめなさいもうっ」
首に回された腕を必死に外そうとするエレオノールだが、カトレアを気遣ってか、無理やり外そうとはしない。そうこうしているうちに、エレオノールの前で縮こまっていたルイズがカトレアに気付いた。
「ちいねえさま!」
椅子を蹴倒しながら立ち上がったルイズが、エレオノールに腕を回しているカトレアの腰に抱きつく。そして、猫や犬がそうするように、自身の頭をカトレアの腰にぐりぐりと押し付ける。急に抱きつかれ思わずエレオノールから手を離したカトレアだったが、抱きついてきた正体に気付くと、顔を綻ばせルイズを抱きしめた。
「まあっ! まあまあまあルイズじゃない! わたしの可愛い小さなルイズじゃない! これで姉妹が全員揃ったわ! 本当に今日は素晴らしい日ね!」
「ちいねえさま! ちいねえさま! ちいねえさま〜!」
きゃっきゃと喜び合い抱きしめ合う二人の姿に、士郎はエレオノールを止めようと伸ばしかけていた手を元に戻す。士郎が目を細めながらその様子を眺めていると、こちらに気付いたカトレアが顔を向けてきた。
「あら、あな、た――は……」
「ん?」
「ちいねえさま?」
こちらに向けられる視線に気付いたカトレアが、士郎に顔を向けられる。すると、優しく弧を描いていた目が大きく見開らかれた。ルイズを抱きしめていた腕が、だらりと垂らされる。
呆然というよりも放心状態におちいったカトレアの様子に、士郎やルイズが戸惑いの目を向けるが、カトレアは何も言わない。
「カトレア?
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