第六章 贖罪の炎赤石
第一話 覚悟
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遅れてシエスタが士郎の後ろに立つと同時に、旅籠から村人たちが飛び出してきた。
村人たちは、旅籠へと歩いていくルイズとエレオノールの前まで駆け寄っていくと、帽子を取って頭を下げだす。必死にご機嫌取りを行う村人たちの一人にエレオノールが顔を向け、屋敷に到着を知らせなさいと指示を出すと、一人の少年が馬に跨り走り出していった。それを確認したエレオノールたちは旅籠の中に入っていく。士郎も腰に差した剣を預かろうとする村人を掻き分けながら旅籠の中にはいる。
村人の一人に案内され旅籠の中に入ると、ルイズたちは目に付いたテーブルに向かっていく。士郎はシエスタと目配せをすると、シエスタと共に椅子を引いた。ルイズたちが椅子に座ると、士郎はルイズの後ろに控えるように立った。
ルイズが反射的に士郎に何か言おうとしたが、エレオノールの視線に気付き、何も言わず口を閉じてしまう。どうやら随分とこの姉が苦手らしいと士郎が考えていると、村人たちのルイズを誉める声が聞こえてきた。ルイズは緊張で何も聞こえていないのか、硬く小さくなってぷるぷると震えている。
その内、村人の話しがルイズからエレオノールへと向かうようになると、雲行きが怪しくなっていった。
一人の村人がエレオノールの婚約について口にし、周りの村人たちがそれを注意すると、明らかに空気が変わる。硬く、刺々しい……そして酷く重苦しい空気に。
これは……地雷を踏んだか?
士郎が表情を変えずに喉を鳴らすと、隣に移動してきたシエスタが不安気に士郎の手を握り締めてきた。
そんなある意味一色触発の空気の中を、ルイズの声が響く。
「あ、そ、その……ご婚約おめでとうごじゃひぃぃいいいっ?!」
「何がおめでとうなのよっ?! 何がッ!!」
ルイズが祝いの言葉を贈ろうとすると、言い切る前にエレオノールがルイズの頬を捻ることで封じた。
「え? な、何? どうして?」
「あんた知ってて言ってんじゃないわよねッ!! もしそうだったら簀巻きにして湖に沈めてやるからね! いいっ?!」
「ひっ! は、はいいぃぃぃ……」
「ふんっ! 残念ながら婚約は解消よ解消!」
「え? そ、その……どうして?」
放り捨てるようにルイズの頬を離すと、腕を組みながら吐き捨てるように言った。
ルイズは懲りないのか? 赤くなった頬を抑えながら理由を聞くと、ビキリと額に血管を浮かせたエレオノールが詰め寄っていく。
「さ・あ・ね・ッ!! 元婚約者たるバーガンディ伯爵さまに聞いたら? 何やら『もう限界』だそうよ……何が限界なのかしらね」
「……っごく……さ、さあ?」
エレオノールの言葉に、口の端をヒクつかせながらルイズは首を傾ける。
そんな様子をルイズの後ろから見ていた士郎は、胃が痛くなりそうな空気に溜
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