第六章 贖罪の炎赤石
第一話 覚悟
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した士郎の口をシエスタが塞ぐ。
何とかシエスタを引き離そうとする士郎だが、ガチリと士郎の後頭部を抑えられ、引き離すことが出来ない。狭い馬車の中、さらにシエスタは動く。士郎の唇を吸いながら、シエスタは士郎の膝に上がる。大きな胸が平たくなるほど、士郎の厚い胸に押し付ける。膝を大きく開き士郎の腰を締め付け士郎の動きを完全に止めると、さらに大きく深く口吸いを続けた。手間のかかった料理を味わうようにたっぷりと数分はキスを続けた後、たらりと銀色の橋を掛けながら二人の唇が離れていく。
ぷつりと橋が切れ、互いの唇の端にかかる。
ぺろりと口の端についた銀の橋の欠片を舐めとると、シエスタは赤く汗に濡れた顔と瞳で士郎を見下ろす。口を開けたまま、士郎は膝の上に上がり見下ろしてくるシエスタを見上げていると、妖艶としか言いようのない顔で笑うシエスタが顔を近づけていき、
「ッ?!」
ペロリと、士郎の口の端に残った銀の橋の欠片を舐めとった。
「シエ――っ! ちょ、お前――んんっ?!」
「んん……む……ん……はぁっ」
抗議? の声を上げようとした士郎の口をまたもや自身の口で塞いだシエスタは、今度はすぐに顔を離す。そっと士郎の顔から離れたシエスタは、微かに顔を俯かせていることから、その表情を確認することが士郎には出来ない。
シエスタは顔を向けることなく、士郎の胸にぽすんと額を当てる。
「だけど……わたしはあなたを止めません」
「シエ、スタ」
「だって、わたしは」
士郎の胸に両手を当て、シエスタはゆっくりと顔を起こすと、うって変わって慈母の如き慈愛に満ちた笑みで士郎を見下ろした。
「シロウさん……あなたを信じているからです」
士郎たちが魔法学院を出てから二日後の昼。
道中何事もなく(士郎がシエスタに襲われたり、ルイズが姉に説教されたりはあったが……)無事にラ・ヴァリエール領に到着した。
領地に着いたというのに屋敷の姿はなく、ただ草原が広がるのみ。話しによると屋敷につくのは半日掛かるという。貴族の屋敷に訪ねにいったことも働いたこともある士郎だったが、屋敷に辿りつくまで半日はかかるというのは初めてだった。更に詳しく話しを聞いてみると、領地の広さは日本で言う市並みの大きさがあるそうだと。規模の違いに士郎が半ば呆れていると、士郎たちを乗せた馬車がとある旅籠でとまった。
馬車が止まり、士郎は素早く馬車から降りると、背後に止まったルイズたちが乗る馬車に向かって移動しドアを開ける。頭を下げる士郎の横を、エレオノールとルイズが降りていく。
エレオノールは士郎を一顧だにすることなく通り過ぎ。ルイズはむっと片方が赤くなった頬を膨らませながら士郎を人睨みすると、声を掛けることなく通り過ぎていく。
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