第六章 贖罪の炎赤石
第一話 覚悟
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のが見つかってしまい、結局バレてしまったのだ。士郎だけどもと、何とか認めてもらうため色々頑張ったのだが、士郎の意見は変わらず『戦争等に行くな』の言葉だけ。
どうしてもダメだと断固とした態度につい言い争いになってしまい……それが未だに尾を引いているのだ。
「あんたが戦争なんか行っても何もしないうちに死ぬだけよ! 一体何を考えてそういう結果になるのよ! いい!? 覚悟してなさい! お父さまもお母さまも機嫌が悪いわよ!!」
「そふなぁぁぁふぁお!?!」
頬をつねり上げられ目尻から流れる涙に滲む視界。
言い返そうにも言い返せない状態に置かれたルイズは、
「たふへえええてええええひろおおおおおお!!」
ついつい士郎に助けを求めてしまうのだった。
「ルイズ?」
ルイズの悲鳴が聞こえた気がした士郎が、窓の向こうに見える立派な馬車に顔を向ける。常人の目には見ることは出来なくとも、士郎には特に問題なく見ることが出来た。馬車の中で、ルイズの前の座席に座る金髪の女性が、ルイズの頬を捻り上げている姿が見える。
仲睦まじい姿に目を細めた士郎が窓から顔を離すと、顎に手を当て、目を伏せるシエスタがいた。
眉根に皺を寄せ、うんうんと唸って何か考えているシエスタが心配になり、士郎が声を掛けようと手を伸ばそうと、
「わかったっ! わかりましたよシロウさんっ!」
「な、何だシエスタ? ど、どうかしたのか?」
いきなり指を突きつけられ、戸惑う士郎に向け、シエスタが何かスッキリとした顔で言いつのってきた。
「ミス・ヴァリエールが今度の戦争に行くっていうのに怒っているんでしょっ! それが原因で喧嘩しているんでしょシロウさんたちはっ?!」
「……それを今まで考えていたのか?」
「そうですよ! もうっ! 人が折角心配しているっていうのに無視して……はぁ……で、やっぱりミス・ヴァリエールが今度の戦争へ参加するっていうのが原因でいいんですよね?」
「……まあ、そういうことになるな」
渋々というように顎を引いて頷く士郎の肩に頭を寄せたシエスタが、目を閉じながら小さく囁く。
「……シロウさんの言うこともわかります。戦争は……怖いですから……でも、わかっていますかシロウさん?」
「……何をだ?」
「あなたがミス・ヴァリエールを心配するように、わたしもあなたを心配しているんですよ」
そっと膝の上に手が置かれる。
視線を下げると膝の上に置かれたシエスタの手が震えていた。
そのことに気付いた士郎が唇を噛み締め、シエスタに顔を向けると、
「シエスタ……俺はっんっ! ふむぅっ? ぬむふぁ……ひへふぁ?」
「んむ……ぁ……は……ぁむ……ちゅむ……ん……」
何かを言おうと
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