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剣の丘に花は咲く 
第六章 贖罪の炎赤石
第一話 覚悟
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受け止めようと触れた時感じたのが、暖かく柔らかな、ただただ子を案ずる優しい気持ち。

「エミヤシロウ……か……」
  
 目を閉じ矛盾する心を抱く人を思い浮かべるカトレアだったが、不意に目を開くと口元に手を置き咳き込み始めた。

「っゴホ……ケホっ……っ……」

 息を荒げながらも落ち着きを取り戻していくと、ベッドに倒れ込みながら天蓋を見上げる。

「……ふぅ」

 口元を抑えていた手を天蓋に向け伸ばすと、小さく呟いた。

「共通するものは……どちらも死んでしまったということだけ……」 
   
 


 



「ルイズか」
「……うん」

 ノックもされずドアが開くと同時に、士郎が声を掛ける。
 ドアが開ききる前に名前を呼ばれても、ルイズは特に驚くことなく部屋に入ってくる。

「……先客がいるようね」
「ん? ああ、シエスタか、疲れているようだから静かにな」
「そう」

 ベッドに眠るシエスタに気付いたルイズだが、士郎の言葉に頷くだけで何も言わず、士郎の言う通り静かにベッドの前を通ると、椅子に座る士郎の膝の上に腰掛けた。

「……ルイズ」
「何よ」
「なぜ膝の上に座る」
「ベッドはシエスタが寝てるじゃない」
「それはそうだが、椅子はもう一つあるだろ」

 士郎が部屋の隅にあるもう一つの椅子を指差すが、ルイズは顔も向けない。

「クッションがないから嫌」
「俺はクッション替わりか」
「そうよ」
「……ならしょうがないか」

 狭い一室に、シエスタの穏やかな寝息だけが暫らくの間響いていたが、不意にそこにルイズの声が混じった。

「……わたし……例えお父さまが反対しても戦争に行くわ」
「……」
「……シロウが反対しても……ね」
「……」

 ルイズの言葉に士郎は何も言わない。
 士郎の返事を待つことなく、ルイズは続ける。

「だって……士郎もわたしが反対しても行くでしょ……戦争に」
「……それは」
「わたしが戦争に参加してもしなくても……ね」

 士郎が何か言おうとしたが、ルイズは遮るように割り込んだ。士郎はルイズの言葉に反論することなくただ黙ったまま。ルイズはそれを確認すると、小さく笑った。

「ふふ……少しはシロウのことわかってるでしょわたし」
「……そうだな」
「……ごめんね……我侭で」

 顔を俯かせるルイズ。士郎の膝の上にある小さな身体が細かく震えている。

「でも……! 絶対シロウは行くから……わたしが反対しても行くから……ッ! だか――」
「ああ……わかってる」

 ルイズの言葉を、抱きしめることで止めた士郎は、震える身体も止めようと腕に更に力を込める。

「わかったよルイズ……だから……俺も……決
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