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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十七話 協調
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よいのですが」
「初陣の気負い、か…。想定戦場を哨戒も兼ねて視察したいとの申し入れがあった故に向こうを任せたのだがな。解った、艦隊を分けよう。アントンとベルタに通信を。両艦隊は予定通りキフォイザーからハーンの線で哨戒を続行せよ。本隊はシャンタウを経由してヴィーレンシュタインに移動する」
「閣下、お言葉ではありますが、アントン、ベルタの両艦隊をヴィーレンシュタインに向けた方がよろしいのではないでしょうか?両艦隊を分離してしまうと、本隊は五千隻に過ぎません」
「キフォイザー、アルメントフーベル、シャッヘンからハーンの航路哨戒をおろそかにする訳にもいかんだろう。例の正体不明の艦隊の件もある」
「そうでした。迂闊でした…キルヒアイス、アントンとベルタの両閣下に通信を。内容は先程閣下が言われた通りだ……本隊、全艦反転!反転後陣形を球形陣に整えシャンタウに向かう!」
伯は後を頼むと言って艦橋を後にした。キルヒアイス、それにミッターマイヤーとロイエンタールが俺の元に集まる。
「ボーデンやフォルゲンで哨戒を行っている連中を信用しない訳ではない。だが…」
「ラインハルト様には何か気にかかる事でも?」
「中佐の言う通りです。参謀長には何か御懸念がお有りの様ですな」
キルヒアイスの言葉にロイエンタールも反応する。
「確かに叛乱軍の活動の兆候はない。だが奴等が嫌な事はなんだ?」
「アムリッツァを我等に奪われる事です」
「そうだキルヒアイス。となると叛乱軍とて哨戒活動をしている筈だろう?」
キルヒアイスが俺の問いに答える前に口を開いたのはロイエンタールだった。
「隠密行動を得意とする叛乱軍部隊が哨戒を行っていると?どう思う、ミッターマイヤー」
「有り得ない話ではない。俺が敵でもそうするよ。だが隠密行動なら敵はごく少数の筈だ。此方に対処出来るだけのまとまった兵力が存在するとは考えにくい…存在していても各宙域でもかなり小規模の通報艦や強行偵察艦のグルッペだろう。奴等が哨戒を実施していたとして、此方に見つからないのはそのせいだ。叛乱軍はアムリッツァから出る必要がない以上、奴等は此方の接近にだけ注意をはらっておけばよいのだからな」
「そうだな…参謀長、どうです?」
ロイエンタールの口調には、俺の能力を試す様な響きがあった。
「叛乱軍の哨戒活動が、ボーデンとフォルゲンの線で止まっていれば心配はない。だが叛乱軍が真に恐れる事態は何だ?キルヒアイス、解るか」
「はい。突然我々…帝国軍がボーデン及びフォルゲンに現れる事です」
「そうだ。叛乱軍がそれを防ぐにはどうする?」
「最低でもヴィーレンシュタインまで哨戒の網を拡げる事です。そうすれば叛乱軍は余裕を持ってボーデン及びフォルゲンに布陣する事が可能です」
キルヒアイスの回答を聞くうちに二人共気づいたのだろう
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