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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
敢闘編
第七十七話 協調
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 今艦隊はキフォイザー宙域中心のキフォイザー星系に居る。一方、マッケンゼン艦隊は今頃シャンタウからヴィーレンシュタインに向けて進んでいる頃だろう。当初哨戒任務はヒルデスハイム艦隊のみで行う筈だったのだが、マッケンゼン中将が自分の艦隊も加えて欲しいと申し出たのだ。ミュッケンベルガーは難色を示したが、リッテンハイム侯の有形無形の圧があったらしい。我々が前線に出るなら、此方からも、という事の様だ。これだけ聞くと二大権門の派閥争いが軍内部でも…と思われがちだが、当のマッケンゼン中将は確かにリッテンハイム閥に属してはいるものの真っ当な軍人の様だった。統帥本部での勤務が長く、主に軍令に携わって来た人物だという。少将への昇進と共に宇宙艦隊司令部入りが内定していたものの、宇宙艦隊司令部の参謀達の猛烈な反対にあい転属が取り消しになり、軍務省でくすぶっていた…という事を先日、ミッターマイヤーが教えてくれた。

 『当時のマッケンゼン少将の宇宙艦隊司令部入りを特に強硬に反対したのは当時准将で宇宙艦隊司令部で勤務していたシュターデン少将です。その一点だけでもマッケンゼン中将が真っ当なお方である事の証ですよ』
『大佐、本当にそれだけで判断出来るものなのか?』
『ええ。士官学校在籍当時、当時のマッケンゼン准将が講話に来られた事がありました。実戦では理論通りにならぬ事は沢山ある、目の前にある事をこそ受け入れよ…と仰っていました。ロイエンタール含め我々学生は尤もだと頷いていましたが、当時のシュターデン大佐は講堂の端からマッケンゼン准将を睨んでいましたよ』
『シュターデンが?何故だ?』
『はい。当時のシュターデン大佐は士官学校で我々に戦術論を教えていたのです。シュターデン教官は戦術シミュレーション等で理論と実際が相反する状況になった時、理論を優先させていました。我々はひどく嫌われたものです。まあ、我々学生も理屈倒れのシュターデンと呼んで嫌っていました。当時のマッケンゼン准将もシュターデン教官に向けて言った訳ではないでしょうが、教官からすれば持論を真っ向から否定されたとでも思ったのではないでしょうか』
『成程。そういう因縁があったのか』

 おそらくミッターマイヤーの観るマッケンゼン中将の評価は正しいだろう。戦場で戦術理論を優先させるなど馬鹿にも等しい。理論が重要な事は解る。だが実際の状況が理論通りにいくとは限らない。目の前にある事をこそ受け入れよ、か。為人は分からないが、その一点を身を以て理解しているだけでも優秀な男である事は間違いない。だが…。
「そこまで心配する理由があるのか?ボーデン、フォルゲン共に叛乱軍は活動しておらん」
「はい、閣下の仰る通りなのですが…マッケンゼン中将は大規模な艦隊を率いるのは初めてです。余計な物言いかも知れませんが、気負っておられなければ
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