見学者
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「お前たちが、どうしても戦いたいんだったら……」
ハルトは拳に付けたルビーの指輪を見せつける。
「だったら……俺が相手になる」
ハルトは宣言する。
「俺が、アンタ達を止める。戦かう気力がなくなるまで、俺が相手するよ……!」
「とうとう本性を現したな。偽善者」
パピヨンは大きく口を開いた。
「自らの邪魔になる参加者は、大義名分を得た状態で容赦なく始末するということだな? 自分の都合で、救う救わないを線引きするわけだ……」
「俺の目的は、この聖杯戦争を終わらせること。だから、戦いたいなら何度でも、お前たちが満足するまで相手になってやる」
「それはそれは……相当な自信があると見えるな」
パピヨンは笑みを崩さない。
「何とでも言って。この街を守るためだったら、俺は偽善者だろうが、たとえ悪にだってなるよ」
「ほう」
ハルトは胸に手を当てる。
「善だろうが悪だろうが、使う力は同じもの。偽善者だろうが何だろうが、俺はより多くの人を助けるために、参加者を犠牲にすることを厭わない」
「ハルトさん……」
友奈は細い声でその名を口にした。
「松菜ハルト……」
パピヨンはぐいっとハルトに顔を近づけた。
「一番嫌いなタイプだよ。君のような偽善者が」
「……っ!」
「!」
「は……っ! 牛鬼!」
パピヨンの頭上を舞う蝶が最初だろう。
平和な店舗の一角で、蝶、そして炎、氷、少し遅れて桜の花びらがそれぞれ少しだけ湧き上がる。
火災検知器が鳴らないギリギリの異能たちの緊張が、店内の空気を書き換えていった。
そして、鏡の中から現実世界を見つめる龍の眼。
この大型ファストフード店に、合計五人の聖杯戦争参加者が睨み合っていた。
「……いや、今は止めておこう」
だが、パピヨンは開いた手を握って鼻を鳴らす。彼の蝶は、その拳に握りつぶされ、火花となって飛び散った。
「もとより今日は戦うつもりはないんだ。それに、どうせ殺り合うなら、しっかりとパートナーを従えてからにしよう」
パピヨンはそう言って、座席に背を向ける。
「……逃げるのか?」
フロストノヴァの体から発生する冷気が、だんだんと強くなっていく。彼女の目線は、これまで友奈がアイスブレイクをしてきた彼女の目をあっという間に氷の温度へ戻ってしまった。
彼女がほんの少し腕を振ると、数本の細く長い氷柱が生成される。彼女の周囲でフワフワと浮かぶそれだが、すぐさま小さな蝶が氷柱に飛び乗り、小さな爆発をしていく。
「ここで俺に君が一方的な攻撃をしてきたとして。果たしてそこの二人は、どう動くかな?」
パピヨンがハルトと
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