暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第187話:愛の胎動
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待てッ!」

 奏が彼を呼び止めるも、彼女の声が届いていないのかそれとも無視しているのか彼の姿は煙の中へと消えてしまった。煙に包まれた本部の廊下に、奏の颯人を呼ぶ声が響き渡る。

「颯人ぉぉぉっ!」

 颯人を追って煙の中に飛び込もうとする奏だったが、それをクリスとマリア、そしてサンジェルマンの3人が引き留める。

「待てって先輩!?」
「放せよ、颯人を追わないとッ!」
「分かってる! でも今は闇雲に動くべきじゃないわ。一度発令所に向かって状況を確認しましょう!」
「2人の言う通りだ。気持ちは分かるが、先ずは落ち着くべきよ」

 3人に諭され、奏は喉元まで出掛かった不安の言葉を飲み込んだ。確かに、今こうしている間にもアダムの儀式は進行している。この状況で何も分からぬままに動き回っては、最悪の事態すら引き起こしかねない。

「……あぁ……あぁ、分かった」

 クリス達に宥められ、辛うじて落ち着きを取り脅した奏は透や輝彦達も交えて発令所へと向かった。道中本部内に響くような音が聞こえない事から、颯人とレギオンファントムはもう本部から外に出てしまったらしい。

「旦那ッ!」
「奏ッ! それに、!? お前は……!?」

 発令所に入って来た面々を見た弦十郎は、その中にサンジェルマンの姿がある事にこの日何度目になるか分からぬ驚愕に目を見開いた。発令所に入るに当たって誤解を招いてはいけないとファウストローブを解いたサンジェルマンだったが、やはりパヴァリアの元幹部がこの場にいきなり姿を現す事は事情を知らない者からすれば驚きを感じずにはいられないらしい。

「パヴァリア光明結社の元幹部、サンジェルマンよ。故あって今は彼女達の行動を共にしているわ。信じられないかもしれないけど、敵対する気は無いから安心してほしい」

 端的に自身の立場を伝えれば、弦十郎は一度奏達に視線を向ける。信じていいのかという彼からの視線に、奏達が頷くと弦十郎も一応の納得をしてくれたらしく小さく息を吐きながら頷いた。

「そうか……分かった」
「自分ていておいてだけれど、本当に信じるの?」
「奏達が信じるのなら、俺も信じるさ」
「……そう」

 拍子抜けを言う感じもしないでは無かったが、それ以上にサンジェルマンは不思議な居心地の良さを感じた。自分達とは違う組織としての在り方を見せつけられ、サンジェルマンは人知れず色々な意味での敗北を感じずにはいられなかった。

「旦那、細かい事は後にしてくれ」
「今は颯人の行方を捜さないとッ!」
「あのペテン師、今どこで何してやがんだッ!」

 矢継ぎ早に次々と言葉を発する装者達。弦十郎はそれを手を上げて宥めると、今がどういう状況なのかをモニターを指差しながら説明した。

「確かに颯人君の事も
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