暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第187話:愛の胎動
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に合わなかった。

 突然医務室の扉が切り裂かれたかと思うと、直後に扉が吹き飛んで近くに居た輝彦がその衝撃に巻き込まれ壁に叩き付けられた。

「がっ!?」
「輝彦さんッ!?」
「何だッ!?」

 突然吹き飛んだ扉にサンジェルマンは素早くスペルキャスターを向ける。煙に包まれた扉からは、ここまで入り込んだレギオンファントムが煙を抜けてゆっくりと入って来た。奴は医務室に入ると、内部に居る面子に堪らず笑みを浮かべた。

「あぁ、見つけた……見つけたぞッ! 何と言う僥倖か、美しいもんたちがここまで揃っているとは、正に選り取り見取りッ! さて、誰から行くか……」
「させると思うかッ!」

 レギオンファントムに好き勝手させまいと引き金に賭けた指に力を籠めるサンジェルマン。だが彼女が引き金を引く前にレギオンファントムは壁に叩き付けられて動けずにいる輝彦を掴むと銃口を向けているサンジェルマンに向けて投げつけた。視界を埋め尽くす輝彦を前に、サンジェルマンは思わずスペルキャスターを構えるのを止めて彼を受け止める為に動いてしまった。

「て、輝彦ッ!? うっ!?」
「輝彦さんッ!? サンジェルマン様ッ!?」

 諸共に倒れ込む2人にアリスが手を伸ばすが、それはレギオンファントムを前に大きな隙を晒す事に他ならなかった。隙だらけの彼女を、邪魔者を払う様に手を振って殴り自分の前から退かした。

「あぅっ!?」
「ふん……ん?」

 一通り障害となる者が居なくなった事に鼻を鳴らすレギオンファントムは、颯人が今にも体を弾けさせファントムを生み出そうとしているのを見て呻き声を上げた。

「いかんな、その男はもう時間が無い。死ぬ前に早く美しい心を壊さなければ……」
「させるかッ!」

 真っ先に颯人を狙うレギオンファントムに、奏がそうはさせじと殴り掛かる。まだシンフォギアを纏ったままだったのが幸いしてそのままレギオンファントムを止める為に戦えたが、場所が場所な為アームドギアを出せない。必然、奏はガントレットを腕に装着した響と同じ状態での戦闘を余儀なくされたが、基本的にアームドギアを用いての戦闘が主だった為喧嘩殺法な殴り方しか出来ていなかった。
 当然そんな一撃に怯むレギオンファントムではなく、奏の拳は簡単に受け止められてしまった。

「ぐっ! くそ、同じガングニールなのに……響みたいにはいかないもんだ……!」

 響は奏と違いアームドギアが出せない事を悩んでいたが、奏は響の様に無手で力を発揮できない事をこの時悔やんでいた。隣の芝生は青く見えると言うが、この時ばかりは珍しく奏も他者の事を羨んでいた。

「邪魔をするな。お前はこの男の後だ」
「う、ぐぁ……!?」

「先輩ッ! チッ、ッ!? ギアが……!?」
「しまった、
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