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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
AXZ編
第187話:愛の胎動
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その場に膝をつくなどして転倒する事を免れようとした。
 そんな中で今にも肉体をブチ破ってファントムが生まれそうになっている颯人は、生まれ出ようとするファントムを押さえつけるので精一杯で体勢を維持する事が出来ず衝撃に倒れそうになる。

「うぁっ!?」
「颯人ッ!?」

 今にも倒れそうになる彼を咄嗟に奏が支えた。勢いよく倒れてきた颯人を抱きしめるように受け止めた瞬間、罅割れていた彼の皮膚が一部ボロボロと崩れ落ちその下からレギオンファントムなどと同じような異形の皮膚が見え隠れする事に奏は泣きそうな顔になる。

「は、颯人ぉ……!?」
「がは、はぁ……はぁ……なんつー顔してんだよ、奏……はぁ、はぁ……心配すんな。こんなの、直ぐ……ぐぅっ!? ぐ……鎮めてみせるからよ……」

 口では強がる颯人だったが、全身から脂汗を流しその顔には死相に近い物が浮かんでいる。誰がどう見ても大丈夫ではない。本来であればベッドの上に居なければならないと言う状態だ。しかもベッドの上に居ても何が変わるわけでもない、寧ろそのまま緩やかに死に向かうのを待つだけと言う程の有様である。そんな状態で心配するなと言われても無理である。

――何か……どうにかできないのかよ……!――

 苦しむ颯人の姿に胃が縮む様な思いをしながら尚も何か彼を助ける手段はないかと考える奏だったが、魔法にも錬金術にも疎い。こんな時に何も出来ない無力さが悔しくて、涙が零れそうになるのを堪えるしか出来る事が無かった。
 それでも目尻に涙が浮かぶのは抑えきれない。玉のように浮かび上がった涙を、颯人が震える指先で優しく拭った。

「ぁ……」
「泣くなよ。お前に泣かれる方が俺には辛いんでな」
「んな事言ったって……!」

 必死に強がる颯人に顔を歪める奏。サンジェルマンも輝彦たちも、そんな2人に何と声を掛けたらいいかと俯いたその時、部屋に備え付けてある通信機から呼び出し音が鳴った。こんな時に何事かと輝彦が入り口近くの通信機の通話ボタンを押した。

「どうした、今こっちは忙しい」
『ッ!? だ、誰だ……!』
「ん? あぁ、私だ、ウィズだ」

 通信が開くと同時に目にした見知らぬ人物に警戒する弦十郎。輝彦は最初何故彼が警戒するのか分からず首を傾げたが、そう言えばこうして素顔で相対するのはこれが初めてだと気付き自分がウィズである事を明かした。弦十郎は初めて拝むウィズの仮面の下、明星 輝彦の素顔に一瞬状況も忘れて目を剥いた。

『ウィズッ!? 君がかッ! だが、何故?』
「細かい事は後だ。それより何があった?」
『そ、そうだったッ! 気を付けろッ! 今本部にファントムが侵入したッ! そっちに――』

 緊急事態である事を急いで告げようとする弦十郎だったが、生憎と彼の警告は間
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