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星河の覇皇
第八十五部第五章 北京宣言その三

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「相手はどうかしら」
「はい、それはですね」
「相手は恨みを持つ」
「そうなりますね」
「三十年戦争でフランスは勝者になったわ」
 その戦争の終盤で参戦してそうなった、疲弊しきっていた旧教徒の軍勢を討ち破ったのだ。尚フランスは新教についていたが信仰は旧教だった。
「けれどその後でね」
「勝利を収め欧州第一の国となり」
「太陽王ルイ十四世の時に最盛期を迎えましたが」
「それでもでしたね」
「イギリスや神聖ローマ帝国の恨みを買ったわ」
 特に三十年戦争で敗れた神聖ローマ帝国のだ。
「そうなってね」
「戦争の都度攻撃を受け」
「そうして敗北が続き衰えましたね」
「そうなりましたね」
「フランスは三十年戦争で完勝してね」
 それがよかったがというのだ。
「非常に多くのものを得たけれど」
「それでもでしたね」
「その後恨みを買った国々に反撃を受け」
「そうして衰えましたね」
「そうなったわ、政治はね」
 この世界はというのだ。
「完勝するとね」
「一方的に勝つとですね」
「かえってよくない」
「その場合もありますね」
「そうよ」
 実際にというのだ。
「実際に連合でもそうね」
「そうですね、千年の間です」
「各国政府と中央政府、各国政府間で対立と衝突があり」
「そして多くの勝利と敗北がありましたが」
「完勝するとです」
「その政権は後で反撃を受けることが多いですね」
「敗れた方は忘れないわ」
 その恨みをだ。
「そして反撃しようとするし他の国もね」
「勝利で得たもので国力を拡大したのを見て」
「それで警戒してですね」
「対立に移る」
「そうなりますね」
「だからね」
 それでというのだ。
「出来るだけね」
「政治では完勝はするものではないですね」
「お互いに勝つ方がいい」
「こちらの目的を達成し」
「そしてですね」
「相手もですね」
「それがいいのよ、完勝は時として恨みを買う」
 その場合もあるというのだ。
「そう認識することはね」
「必要ですね」
「政治においては」
「実に」
「左様ですね」
「政治は一度の勝利で終わりではないわ」
 そこでハッピーエンドではないというのだ。
「まだ続くわ」
「三十年戦争もですね」
「この戦争もですね」
「それで終わりではなく」
「まだ続いていましたね」
「そう、それで波に乗っていたけれど」
 それでもというのだ。
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